オリジナリティを入れた良漫画化 - ドラゴンクエスト　幻の大地の感想

非常に有名なゲームの漫画化作品ということで、読んでいる方は多いと思う。

ゲーム中では仲間にならないぶちスライムが一番最初に仲間になったり、現実世界には残らないバーバラが主人公と幸せになったりという作者のオリジナリティが入っています。ゲーム作品の漫画化はオリジナリティを入れ過ぎてゲームファンから否定されることも少なくないけれど、この漫画のオリジナリティは逆にファンを喜ばせたのではないでしょうか。

そもそもゲームでバーバラと主人公は恋愛関係に至ることはありません。けれど多くの人は物語はハッピーエンドになることを好み、更に幸せを願える恋愛が入っていることを望む。言わば王道をオリジナリティとしてしっかり盛り込んだ良いテコ入れだった訳です。作者が原作者ではなく、一プレイヤーであったのも読者の期待に沿えることのできた一因かもしれません。やはり人は、自分と同じ立場の人の考えを察し易いですからね。

作者がプレイした上で「ここがこうだったらもっと良かったのに、こうなら面白いのになぁ」と純粋に思ったことを描いたのだろうと思います。私もプレイしていてぶちスライムが仲間にならないことを残念だと思ったり、恋愛があればもっと好きになったのにと思いましたから。

読者（消費者）の立場になって望むものを実現させ、成功させた良い例の一つだと思います。漫画も家電も何でも、相手の気持ちになって考えることの大切さを実感する作品でした。