現代人の性質を教えてくれた作品 - 時空探偵ゲンシクン、進め!ジクモン探偵団の感想

元々は1998年に放送されたアニメ作品「時空探偵ゲンシクン」を漫画化したもの。実は「小倉あん子」作画で別に漫画化したものもありますが、こちらはそれよりも短めで登場人物の設定や物語の展開も少々違います。

共通する点は「歴史上の人物や出来事を時空モンスターを通して知ってもらおう」というコンセプトを通そうとしている点ですかね。

基本的に「歴史」というのは学校の授業で文字だらけの教科書で習うものなので、多くの人が義務として覚えるだけで正直面白味がありません。ですがそれが多少脚色されていても漫画やアニメなどでエンターテインメントとなるだけで、不思議と楽しくなって「この人は本当にこんな人物なの？　この出来事は現実ではどんな風に起きたの？」と興味が沸いてくる。

この漫画はそんな現代人の性質をよく理解して作られたものだと思います。ギャグ色がかなり強いですが、それも「漫画といえど真面目一辺倒に書くだけでは面白くない」という、これもまた現代人の性質を理解しているからこそかと。

さて、ここまで好印象のレビューを書いているのになぜ評価点が低いかと言うと……冒頭で書いてあるようにこの漫画は謂わば「三番煎じ」なのです。コンセプトは間違いなく良いものであるのに、現代人の性質を理解して作られたものなのに、アニメと小倉あん子作画の漫画と「内容がほぼ変わらない」のです。

どんなに美味しい食べ物であっても、ずっと同じものを食べ続けていると飽きるという、食べ物にも恵まれ少々我が儘になったそんな現代人の性質も実感させてくれる作品です。