親子の愛情のあり方は難しい
オーストラリア,メルボルン。厳格な父親のもと、ピアノの英才教育を受けるデイヴィッド。天才少年と呼ばれた彼は、イギリス王立音楽院からの誘いを受け、父親の反対を押し切り、留学。ロンドンでピアノに打ち込む彼だったが、次第に精神に異常をきたしていく…。
実在のピアニスト、デイヴィッド・ヘルフゴットをモデルにしている。
この映画は親子の愛情のあり方について考えさせられる。父親の、デイヴィッドに対する愛情の強さが恐ろしいのだ。留学しようとする息子に向かって「お前の家族はここにいるんだ」「家庭を壊す気か」と暴力的な態度で叱る一方、「自分はいつもお前の味方だ」とデイヴィッドを抱きしめる。
愛情で叱り、愛情で抱きしめる父親。しかし父親はデイヴィッドの心に向き合っていない。デイヴィッドは自分の「モノ」という意識が強いのだ。
デイヴィッドが精神に異常をきたしてしまったのは、デイヴィッドの心の支えになるはずの軸(父親)との関係の危なっかしさが一因としてあるのだろう。
デイビッドが心の病になるまでの経過を描いているだけの映画にも思えるのだが、親子の関係は、人にとってどれほど大事であり、それでいてどれほど危なっかしいものかを痛感させられる。
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