朋輩
このドラマでは、数多く共演されてきた西島秀俊(永田一雄役)と香川照之(父・忠雄役)の駆け引きが注目されるところであった。一雄が過去を後悔しているであろうことから、五年前に亡くなったはずの親子とともにタイムスリップを繰り返しながら、人生のやり直しを失敗しながらもやり遂げていくというものである。タイムスリップというどこか非現実的でありながらも見入ってしまうのには何か訳があるに違いない。
その理由のひとつには一雄が抱えている問題があるのではないだろうか。
一雄は当時父・妻・息子、そして会社という多様な悩みを抱えていた。これは現代社会の多くの人に通ずる問題であり、さまざまな年齢の視線からこのドラマを捉えることができる。しかし一雄がこれらの問題をタイムスリップのなかで解決していく手助けになったのは父・忠雄である。忠雄は一雄を親友という意味の朋輩として接する。
ここもまたおもしろいところである。もちろんこのドラマのなかで家族の絆を描くことが本来の目的であったのかもしれない。人間関係の危うさを表現したかったのかもしれない。しかし本当にそれだけだろうか。朋輩という語を何回も連発するこのドラマにおいて本当に絆というものだけに焦点をおいているのだろうか。もっと単純明快に朋輩という語を多用する理由があったのではないか。
考えれば考えるほど面白いドラマになっている。
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