ここまで笑えるSF映画があったろうか? - ギャラクシー・クエストの感想

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ここまで笑えるSF映画があったろうか?

4.84.8
映像
4.5
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
4.5
演出
5.0

目次

これほど面白いSF作品は見た事がない

1999年に製作されたSF映画。今までに見た事のないコメディタッチの宇宙を舞台とした物語、リアルな感覚のシュールな笑いで、質の高い作品に仕上げている。

スタートレックへのパロディ映画ですが、スタートレックを全く知らなくても楽しめるし、SF好きじゃなくても絶対に面白いと思う映画です。SFのコメディー、しかもパロディと言う事で、ちょっとバカにした気持ちで見始めましたが、こんなに良くできたコメディは初めて見たような気がします。

ファンから大人気のドラマなのに、実際に演じている人達は、すでにやる気がない、職業的に役をこなしているだけという、なんともありえるかも知れないと思う設定からお話は進んでいきます。ファンから見た、ドラマの乗組員は、本当に存在している乗組員のようにあがめる、その一方で本人達は、もう飽き飽きしている。「自分達は宇宙船の乗組員じゃないんだよ」と思っているそのギャップの滑稽さが、実に見事。こんな角度から描いているのは、見た事がないし、本当の話としても充分ありえるので、知らないうちに映画の世界へグイグイ引き込まれてしまいます。

そして、なんともおかしな宇宙人との交流、宇宙船へのワープ、悪い宇宙人との戦い、さらには、実際にはないはずのオメガ13の始動など、細部に至るまで「ギャラクシー・クエスト」は本当によく描かれています。バカバカしいのに、なぜかとても面白い作品は初めてでした。

今は亡きアラン・リックマンの面白さが逸品

登場人物の乗組員の中に、宇宙人を演じているアレクサンダー・デーンがいます。彼だけがトカゲの頭を持つエイリアンという設定なので、彼にとってはそんなエイリアンの役は、いやでしかたがないのです。「何で俺だけがトカゲの頭をかぶんなきゃいけないんだ」と、いつも思っているのですが、その役を映画で演じているのは、俳優のアラン・リックマンです。

彼は、ハリーポッタの映画でスネイプ先生役を演じている、誰もが知っている名俳優。あの独特なちょっと不機嫌な雰囲気は誰にも真似できないのではないでしょうか?そんな彼が、トカゲの頭のかぶり物を被っているのですから、面白くない訳がありません。彼がふてぶてしく、仕方なく演じているエイリアンは、見所の一つとなっています。しかし、俳優のアラン・リックマンは、2016年に69歳で死去してしまいました。もう、観る事のできない彼の作品ですが、「ギャラクシー・クエスト」は、そんな彼のとても面白い部分を見せてくれる貴重な映画となっています。ハリーポッター好きな方は、ぜひ観てもらいたいですね。

しっかりと構築されている筋書きが見事!

パロディというと、ハチャメチャというイメージがありましたが、こちらの作品は絶対にそんな事はありません。綿密に構成され、考え抜かれた脚本だと感じます。

起こっている事は、信じられない話なのに、話の筋が通っているので、こんな話なんてあるはずないと思えないのです。宇宙人と地球人、そして彼らをファンとしている子供達の本当の夢を現実にして、叶えてくれています。やっぱり、ギャラクシークエストはあった、オメガ13は、実在したと、感じてしまうのではないでしょうか?そして、いつの間にか、感動させられてしまうのも、この映画そのもののチカラです。

異星人とのラブストーリーってこれなのか?

絶対に変!と思ってしまうけれど、これもありなんだと、ある意味感心させてしますのが、このお話しに出てくる宇宙人と地球人とのラブストーリーです。彼らの本当の姿はタコみたいなグロテスクな生き物なのですが、見かけは、地球人に変身しています。声もおかしいのですが、見事に地球人化しています。その宇宙人と地球人との熱烈な恋愛なんて、どうでしょうか?信じられないほど、面白く描いています。もう、宇宙人役の人達が、宇宙人にしか見えません。

今までにない、純粋な宇宙人キャラに脱帽

これまでに見た、宇宙人のキャラクターはなんだったのか?と感じさせるぐらいに、ぶっとんだ宇宙人のキャラクターばかりです。彼らは、純粋で真剣、だからこそ面白いお話しを作る事が可能なんですね。

お話を作ること、演じる事、嘘を吐く事、冗談を言う事をまるでわからない真面目一本の宇宙人を初めて見ることができました。究極の良い宇宙人と言っていいのでしょうか?

彼らを見ていると、地球人の方が不純にみえます。嘘がある事、お芝居がある事に衝撃を受ける彼らがとっても可笑しいと思う反面、なんだかいじらしさの様なものを感じ、彼らに好感を持ってしまうのは、私だけでしょうか?

心地よい満足感に浸れる映画です

物語の最初と最後が同じ「ギャラクシー・クエスト」のイベント会場と言う事で、引き締まる終わり方をしています。ああ、この場所に戻ってきたと、見ている私達に感じさせると同時に、登場人物の心情も最初の場面の心情とはまるっきり違う感情になっています。素晴らしい作品である事の証明ではないでしょうか?

現実と宇宙と夢、全てを楽しめる映画となっています。

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