ドワーフ族の難とそれにかかわるエルフ族 - ホビット 竜に奪われた王国の感想

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ドワーフ族の難とそれにかかわるエルフ族

5.05.0
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

やたらと捕らえられてしまうドワーフ

この映画の中でドワーフは3回も捕らえられてしまいます。前作の「思いがけない冒険」でも、トロールに捕まり危うく食べられそうになったのをビルボに助けられますが、ここでも3回のうち2回はビルボに助けられます。

「闇の森」を歩いている中、ビルボが方角を確かめに木の上に上っている間に、蜘蛛に襲われ糸でぐるぐる巻きにされてしまいます。蜘蛛の毒にやられているのかみんな糸に絡まったまま大人しくしています。エルフの道を外れてしまって幻覚に惑わされていた分、いつもの戦いができなかったのでしょう。もどってきたビルボが剣「ひとさし」を使って次々とドワーフたちを助けていきます。蜘蛛の糸から逃れたドワーフたちは正気を取り戻し、次々と蜘蛛を倒していきます。

蜘蛛と戦っている途中に「闇の森のエルフ」が蜘蛛を倒しに参戦します。しかし、仲の悪いドワーフとエルフです、普通に助けてくれるだけでは終わりません。結局そのままエルフによって牢屋に閉じ込められてしまいます。エルフの王スランドゥイルは「はなれ山」の財宝を狙っており援助を申し出ますが、ドワーフが「はなれ山」を奪われた時スランドゥイルに助けを求めましたが、助けるといった約束を果たさずドワーフの国が滅びてしまったため「信用できない」と援助を断ってしまいます。エルフに捕らえられた時、指輪で姿を隠していたビルボが逃げ道を確認してから助け出します。ワインの樽に乗って逃げ出すアイデアは誰も思いつかなかったでしょう。

バルドの忠告を聞かずに武器を武器庫に押し入り盗もうとしたところを、捕らえられてしまいます。このときはビルボも一緒に捕まってしまいますが、捕らえたドワーフが「はなれ山」の王の息子トーリンだと知ると、人間の統領は金に目がくらみ援助を聞き入れます。最初は盗人扱いしていた統領ですが、出発するときは一転して盛大に見送っています。この時は人間が欲深かったことが幸いだったようです。

いろいろな種族から嫌われているドワーフ

勇敢で陽気なドワーフですが、どういうわけかほかの種族からは嫌われていることが多いです。熊に変身できる獣人のビヨルンは自分の屋敷に逃げ込んだドワーフ一行をもてなしはしますが、身勝手でがめついドワーフは嫌いだといいます。助けたのはドワーフよりもオークの方が嫌いだという理由からだったようです。

エルフにも嫌われていますが、全部が全部ではありません。エルロンドやタウリエル、ガラドリエルは友好的ですが一般的なエルフは嫌っているようです。お互い欲深いことが原因だったようですが・・・。

礼儀を知らなかったり、ガサツだったり欲深いことが嫌われている大きな要因のようです。しかしいったん好きになるとほっとけない種族らしくビルボやガンダルフ、エルフ族でもタウリエルは彼らを助けるために力を果たします。

「さけ谷のエルフ」と「闇の森のエルフ」

「裂け谷のエルフ」は闇のもの以外には友好的であるのに対し、「闇の森のエルフ」は戦闘的です。大きく分けると白魔術を使い戦うのが「裂け谷のエルフ」で、弓や剣を用いて戦うのが「闇の森のエルフ」と考えてもよいでしょう。

「裂け谷のエルフ」であるエルロンド卿やガラドリエルは、王の墓でサウロンが復活する際、白の魔法使いであるサルマンやガンダルフとともに闇のものと戦っています。エルロンドは剣で戦っていますが、亡霊を相手に戦うことができるのは魔力があるからではないでしょうか。しかし、裂け谷を訪れたドワーフやビルボたちに対して好戦的な態度ではありません。どちらかというと友好的で特に何の見返りがなくても手助けをしてくれていました。

一方「闇の森のエルフ」はドワーフたちにとても好戦的です。弓や剣を使い戦いを行います。レゴラス、タウリエル、スランドゥイルが「闇の森のエルフ」で武術に非常に長けています。身のこなしも軽く、ドワーフが樽に乗って「闇の森のエルフ」の館から逃げるときに、レゴラスはドワーフたちの頭を足置き場にしてオークたちと戦っていました。

タウリエルをめぐるキーリとレゴラス

ドワーフでトーリンの甥であるキーリは、エルフの女戦士であるタウリエルに好意を寄せます。タウリエルもキーリのことは気になるようで、逃げたドワーフを捕まえるために追ってきたはずなのに、オークに襲われそうになっているキーリを助けたり、オークの毒矢によって死にかけているキーリをバルドの家で薬草と癒しの呪文を用いてなおしたりしています。一方同じようにタウリエルに好意を抱いているのはレゴラスです。彼はスランドゥイルの息子で、エルフの中ではあまり地位の高くないシルヴァン・エルフであるタウリエルとは身分違いの恋となってしまう上に、タウリエルはレゴラスに対し特に好意を抱いている様子はありません。しかし一途なレゴラスは、スランドゥイルの命令に背きドワーフを助けるために城を出たタウリエルを追って、自分も城を出ていきます。タウリエルは近衛兵としての自分を気に入っているだけだと言っていましたが、どう考えても好きだからとしか思えませんね。

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壮大なファンタジーロマンの真髄が味わえる3部作のひとつ

前作「ホビット 思いがけない冒険」に続く物語前の作品は観たけれども、この「ホビット 竜に奪われた王国」を観たころには内容はすっかり忘れていて、観ていないも同然のような気がする。そもそも「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズは本で読んでその世界観には魅力を感じたのだけれども、いかんせん昔のイギリス英語の翻訳だからか文章が回りくどく、なかなか頭に入ってこないその描写にイライラして読むのを止めた記憶がある。その後映画を観たので、こういうことだったのかと本だけ読んだのではわからなかった頭の中の空白が埋められたような気がした。それのスピンオフ(と呼ぶべきか?)なので、この「ホビット」シリーズが出たときには飛びついたのだけど、実際には「ロード・オブ・ザ・リング」ほどの深さはないように思う。でも深さを感じないかわりに、純粋に娯楽として楽しめるところが多い。今回の「竜に奪われた王国」では、樽に乗って激流...この感想を読む

3.53.5
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