ほのぼのとした日常を強調するデザインの数々
女子学生の日常を描いた作品は多々ありますが、中でも「ひだまりスケッチ」の映像からは他作品とは一線を画するものを感じ取れます。その一つが背景デザインで、監督の新房昭之と製作会社シャフトの独特な手法が如実に現れています。
物語の内容が美術学校に通う女子生徒たちの物語で、日常生活のほのぼのとした様子が描かれています。その温かみあるストーリーを壊さないように背景デザインでは基本的に淡い色とドットを駆使して物を表現しています。キャラの表情アップにおいてもドットを使用しており、よりほんわかとした雰囲気を際立たせているものと思います。また実写を映像内に取り込んでいることで視聴者に物の情報を明確にしており、これによってインパクトも与えています。
イメージしやすいという点も重要で、各キャラクターにはイメージアイコンというものが存在します。主人公であるゆのには髪留めの「×(バツ)」、一つ先輩のサエには「メガネ」がそのままアイコンで使用されており、どこで誰が登場するのかはっきりと分かりやすくなっています。これで視聴者も物語上で内容を混同する可能性が小さくなります。
独特の映像表現でも見る価値はありますが、その独特の手法には視聴者のことを意識した意味が存在します。他の日常系を描いた作品では1カット内に情報が多かったりしますし、また同じシャフト系列の作品でも同じように実写映像を巧みに使用しています。単なる背景画でも深い意味がこめられているため、デザインの観点から見ても映像美に溢れている作品であると感じます。
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