宮子の魅力に迫る
よく食べる
本作品には多くの登場人物がいるが、ここではその内の「宮ちゃん」こと宮子について、彼女の魅力について語っていきたい。この作品では食べ物が頻繁に登場し、食事のシーンも多数出てくる。別名、“食テロアニメ”とも言われる。深夜アニメだったので当時の視聴者は視聴後に腹が減って仕方がなかったらしい。本作品のストーリーの軸になる場所の一つ、主人公たちの住む“ひだまり荘”の住人・ヒロが料理が趣味で、他の住人たちにことあるごとに料理を振る舞うのだ。貧乏人の宮子はヒロさんの料理が自身の食生活の一部になっているほど期待している。その他の住人もヒロの料理を楽しみにしていて、ヒロの住む101号室は“食糧庫”とも称されてしまったことがあるほどだ。そんな料理を一番よく食べるのが宮子である。ヒロの料理に限らず宮子はよく食べる。本シリーズの宮子の食べるシーンだけつなぎ合わせても2話分くらいになるのではないだろうか。それほど宮子は食べているのである。しかも、おいしそうに、そして幸せそうに食べるのである。宮子の食べている姿を見ているだけで、こちらまで幸せな気持ちにさせてくれる。宮子の食べるシーンはトータル2話分と書いたが、それだけ見ても飽きない。それどころか、宮子に食べさせてあげたいとまで思ってしまう。宮子の究極的な食べ方に“ハンドイーター”つまり手ごと食べる、というものがある。食パンをゆのの手ごと食べたり、シュークリームを自分の手ごと食べたり。行儀としては悪いのだが、見ていて面白い。また、合わりのみんながおしゃべりを楽しんでいるのに一人だけ黙々と食べ続けていることもあり、手が止まらずに次々と食べ物が消えていくことから、“生ける永久機関”だとか“人間バキュームカー”だとか言われてしまう。食べ方自体にも特徴があり、スイカなどは某お笑いタレントのような食べ方をしたり、そばは飲み物とばかりにすすって食べたりする。この、よく食べる、というのは間違いなく宮子の大きな魅力である。
元気いっぱい少女
宮子は本当に元気少女。この作品のムードメーカー兼トラブルメーカー。ゆのが落ち込んでいたら盛り上げて慰めてくれる。ただし、その方向がちょっとおかしなこともあるのが宮子らしい。宮子が落ち込んでいるところは見たことがない。だから非常に少ない落ち込んだり泣いたりするシーンは逆に引き立つ。ヒロが卒業してひだまり荘を出ていき、空っぽになった101号室を見て一人泣く宮子のシーンが原作にあるが、作者がこのシーンに宮子を選んだのは。普段そういうキャラ(泣くキャラ)ではない宮子が泣くほどのことなんだ、それだけこの2年間が楽しかったんだ、という描写をするのに一番適任だったからだろう。
優しい
ゆのが風邪をひいて学校を欠席して寝込んでいれば、休憩時間に頭のタオルを替えに来てくれる。学内コンクールでゆのが入賞すれば自分のことのように喜んでくれる。先ほどの落ち込んでいるときに励ましてくれることも含めて、宮子はとても優しい。他人への気遣いが人一倍できる女の子である。優しいからこそ、猫も寄ってくるわけである。寄ってきた猫と1週間程度一緒に暮らしたこともある。その猫に対してもやさしい宮子なのである。猫と魚の取り合いをするのも宮子らしい。その猫につけられた肉球の日焼跡が宮子のトレードマークになっているほど、宮子と猫の関係は深いのである。このように食べるところを見なくても、宮子の一挙手一投足を見ているだけで楽しい気分にさせられる。それも宮子の魅力である。
ツッコミ担当(主にヒロに)
やられると分かっているのに言わずにはいられない、というのも宮子の性であり、魅力の一つである。主にヒロに対する体重や体つき(主に力士関係に例えられる)のツッコミはもはやお決まりのパターンになっていて、度が過ぎると食べ物を没収されたり部屋から追い出されたりしてしまう。このツッコミがかなり的を射ているだけにヒロとしても気にしているようで、ある時は宮子からツッコまれて自分が部屋の外に出ていってしまったこともあった。もしかしたら宮子のツッコミにはヒロも一目置いているのかもしれない。
数々の謎
作中、宮子ほど謎のあるキャラクターはいない。今の宮子を作り上げた環境とはどのようなものなのか。それを想像するだけでも興味深い。幼少期に盛り場を“流し”で歌っていた(だから演歌限定で歌がうまい)、海難事故で大海原に投げ出された、北極星を頼りに旅をした、など。どれもこれもあまりにも突飛すぎてどうやったらその状況になるのかといったことから謎なのである。いったい何があったのか、当時のことを想像するだけでも面白い。いろいろな経験を誰よりもたくさんしてきたからこそ、今の宮子があるのだろう。こういうミステリアス性も宮子の魅力だ。このように宮子には本当にたくさんの魅力がある。本作品を陰で支える一番の功労者であろう。
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