命とはなんぞよやと問われるブラック・ジャック
手塚治虫作品の中では、作者自身の知識(大阪大学医学部卒業・医学博士号取得)を元に書かれている、代表作です。
最近「ヤングブラック・ジャック」という本や「ブラック・ジャックによろしく」とか、「ブラック・ジャック」の名前を
冠する漫画が発行されていますが、「ブラック・ジャック」の作品性が「命の大切さ」「医師というのは、命を助ける仕事の
はずなのに、どうして人は死んでいくんだ。医師とはなぜ必要なのか?」という問いかけがあり、そのオマージュとして、
「ヤングブラック・ジャック」などの作品が登場しています。
私は、医者ではなく、一般の主婦なので、作中に書かれている手術法はさっぱりわかりません。
しかし、私のかかりつけ医に「ブラック・ジャック」の話をしてみると、
「ブラック・ジャック」を医学部生なら一度は読んで、仲間内で今の医療技術なら、こういう技術があるはずだとか、
手塚治虫自身が間違えて覚えていることを、作中で紹介している個所などがあり、間違い探しと今の医療技術の
討論材料としてされています。
しかし、手塚治虫が学んだ知識は、その当時は最新のものであり、間違いであっても、もう故人なのですから、
訂正することは、不可能です。
ですので、こういう技術が、昔あったのだということを知るのには、いいのかもしれません。
しかし、手塚治虫作品全体に言えることでもありますが、
「人間であれ動物であれ、同じ価値があり、比べることはできない」
「命には限りがある」
「この世の中には、納得のいかない世界があり、その中で生きていくことが人生だ」
ということです。
ブラック・ジャックには、愛していた女性がいましたが、子宮がんの手術で
男として生きていく道を彼女は選びました。
ブラック・ジャックにとっては、キーパーソンの人物でもあります。
「愛した女性が、女性としての機能をなくして、男として生きていくこと。」
それは、ブラック・ジャック自身が受け入れにくい、考えでしょう。
でも、彼は、様々な境遇の人達や動物を救っていきます。
「そのものに与えられた命を、救う為」
その理念のもとに、彼は生きていきます。
この物語を通して、医師とはなにか、命とはなにかということを、改めて、考える作品と思います。
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