京極ファンも安心して読める
京極夏彦の魍魎の匣といえば、原作はサイコロ本と言われるほどの分厚い長編ミステリ。
これまでに映画化、アニメ化もされてますが、志水アキ作画のこのマンガが一番原作に忠実だと思います。
何より志水アキの繊細な描写、ミステリアスな画風が京極夏彦のキャラクターにぴったり!
キャラクターも、アニメや映画では「このキャラはこんなんじゃない」ということが多かったのに対し、想像していた通りの再現力で小説がそのまま劇画になったという感じ。
人気の高い京極堂、榎木津あたりは原作ファンも納得のいくキャラクターに仕上がってると思います。
また長編小説を題材にしている作品なので、映画やアニメは端折ってある内容も多かったけれど、この作品は元の京極夏彦の文章を活かしながら進められているので、原作の内容を大きく省いたり変更されることなく進められていることも、京極ファンとしては結末を知っているだけに読み応えがありました。
映画もアニメもこのマンガも、再現するにあたって一番苦戦したのは匣に納められた状態の加菜子だと思います。
生きたままの人間を匣に納めるという非現実的な表現。
このマンガの中ではファンタジー過ぎず。でも生々しすぎもなく、程よい気味悪さが出ててよかった。
ひとつガッカリなのは、この魍魎の匣からスタートして、続編も出てますが、志水アキの画風が少しずつ変わってしまい、繊細な描写が少しずつ失われてる感じが残念。
志水アキの、画力のピークがこの魍魎の匣な気がします。笑
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)