賢者の石にみるハーマイオニーの変貌 - ハリー・ポッターと賢者の石の感想

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賢者の石にみるハーマイオニーの変貌

5.05.0
映像
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脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

頭がよく優等生のハーマイオニー・グレンジャー。そんなハーマイオニーがハリー・ロンとともに、校則を無視することに抵抗がなくなっていく過程が顕著に描かれているのがこの「賢者の石」。ハーマイオニーの言葉とともに心の変化をおっていきます。

「もっと悪くすれば退学ね」

ハーマイオニーがハリー&ロンと立ち入り禁止の四階の部屋から出た後「あなたたちと一緒にいたら命がいくつあっても足りないわ」のあとに続けて言った一言です。「死ぬより退学の方が悪いのかよ」とロンのセリフが続きますが、この時のハーマイオニーの中で一番悪いのは退学になることだったのでしょう。ハリーたちと出会う前は校則を破るなんて絶対にありえないことだったのだろうと容易に想像できる一言です。学校が始まるまでに教科書すべてに目を通し、呪文が書いてあるページ数まで覚えている、まさに優等生の鏡です。予習が完璧なのはホグワーツ特急の中で、「どの呪文もちゃんと効いたわよ」というセリフでもうかがえます。組み分け儀式のために大広間に入った時も、天井の魔法のことを説明するのにどの教科書に書いてあったのかまでいえるなんて、どれだけ勉強してきたのだろうと思ってしまうほどです。両親がマグルということもあり、魔法族生まれの子たちに負けたくないという気持ちが働き、「勉強ができる」ということでコンプレックスを感じないようにしたのかもしれませんね。実際呪文を使わない箒の授業では、「上がれ!」といくら言ってもなかなか箒が上がってくれないという場面があります。もしそれだけの思いをして入学に臨んだのだとすれば、ハーマイオニーの言うとおり最悪なのは「退学」かもしれませんね。「悪魔の罠」を解いた時も「勉強ができるだけ」と言っていますが、これは努力さえすれば誰でも勉強ができるようになるという、ちょっと自虐的な表現ともとれるでしょう。

「本で見たから倒せると思って」

学校に入り込んだトロールをハリー&ロンが倒した後に、ハーマイオニーがマクゴナガル先生に言った一言です。自分を助けるために来てくれた二人を守るために自分が悪かったのだとついた嘘ですが、このあたりからハーマイオニーの優等生ぶりが少しずつ変わり始めてきます。「本で見たから」と言ってしまうところはまだ優等生ですが、呪文の授業でまともに羽を浮かせることもできなかったロンが、呪文を使って自分を助けてくれたことがハーマイオニーにとっては衝撃的だったのでしょう。「二人がいなければ死んでいました」とそのあとに言っていますが、その言葉は本心だったのでしょうね。

「禁書の棚はまだでしょ」

ニコラス・フラメルに関する本を調べるのに「図書館はもう何十回も調べた」と訴えたハリーに対し言った言葉ですが、規則を厳守していたハーマイオニーはどこに?校則を守るよりニコラス・フラメルを調べることが優先になっています。「あいつ俺たちのせいでワルになったな」という言葉通り、ハーマイオニーの変貌はここでほぼ完成したと言っていいでしょう。自分はクリスマス休暇に家に戻るので寮に残っているハリーに禁書の棚を調べろというのです、最初の「悪くすれば退学ね」といっていたハーマイオニーとは大違いです。それでも大きな厚い本を出してきて、軽い読み物と言ってしまうところはまだまだ優等生ぶりは健在しています。

「ネビルにも・・・」

ハリー&ロン&ハーマイオニーのせいで減点が多くなったグリフィンドール寮。夜寮の談話室から出ようとした3人を阻止するために立ちはだかったネビルを、ハーマイオニーが「全身金縛りの呪文」で床に倒してしまう。ここまできたら間違いなく規則を守っていた優等生ではなくなっていますね。しかも得意の呪文を使ってネビルを石のように固くしてしまうなんて。ここまできてもしハーマイオニーが最初の頃のように、校則を破るのは「絶対ダメ」といった生徒であったとしたら、ハリーとロンは賢者の石までたどり着くことはできなかったでしょう。でも、ここで一つ疑問が・・・。ハリーがもし「みぞの鏡」までたどり着けてなかったら・・・。ヴォルデモートは賢者の石を取り出すことはできなかったのではないか?だってあれは使う気のない人じゃないと、鏡にうつるのは使った後の自分しか映らないのだから・・・。今回はハーマイオニーの変貌についてなのでそれはまたの機会に触れることにしましょう。

「最後に」

この後のシリーズでも積極的に!?校則を破るハーマイオニーの姿がみられます。「校則を破るのって楽しい」と言ってしまう場面も。そのたびにロンに「きみ本当にハーマイオニー?」と言われます。校則を破ることにスリルを味わってしまうようになったのは、間違いなくハリーとロンのせいでしょう。でも弁解させてもらうと、自分の身勝手で校則を破るわけではないのでいくら校則を破っていても優等生であることには変わりはないのでしょう。

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