仇敵の復活と結び直される友情
大人気『ハリー・ポッター』シリーズの第4作目です。この作品の見どころは、大きく『三大魔法学校対抗試合』と『ヴォルデモートの復活』に分けられます。 『三大魔法学校対抗試合』では、本来出場資格がないハリーが選手が4人目の代表選手に選ばれたことから、あれだけ強い絆で結ばれていたはずのハリーとロンの友情にひびが入ります。ハーマイオニーが間に入りますが、双方かたくなになってしまいます。しかし、『三大魔法学校対抗試合』の過酷な課題を目にすることで、ハリーが単に『目立つ』ためだけに自ら立候補することはないと気付いたロンと、ロンが戻ってきてくれたことの喜びや心強さから友情の素晴らしさを再度実感するハリーは、今まで以上に強い絆で結ばれます。もちろん、その友情の中にはハーマイオニーも含まれているのですが、彼女の心の中にはロンに対する別の感情が芽生えつつあり……清々しく、微笑ましい青春物語です。 一方、『ヴォルデモートの復活』は暗く、残酷な色を強めていきます。肉体を取り戻すために、古い儀式を執り行うことを決めたヴォルデモートは、ハリーの血を手に入れるために、狡猾な罠をしかけます。そして、父の遺骸を辱め、ハリーを傷つけ、仲間を道具のように扱います。そして、邪魔になるとわかれば、なんのためらいもなく、ハリーの友人を目の前で殺してしまうのです。ここまで人間とは冷酷になれるものなのか? そもそもここまで邪悪になって、まだ人間と言えるのか? 人間離れした姿も相まって、そんな疑問を突き付けられます。 シリーズのクライマックスに向かって、大きく舵を切ったこの作品は、もう子どものためだけの冒険物語ではなく、まぎれもなく大人のための壮大な物語と言えるでしょう。
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