いまいち見ごたえが…
マルキ・ド・サド、通称サド侯爵といえば、サディズムの語源となる人物として知られています。彼の晩年、獄中生活を描いた物語です。 しかし、この作品を見てもサド侯爵のことが分かった気はしません。あくまでも獄中生活だけが描かれており、彼の人格を形成する背景などは掘り下げられていません。 エログロ描写がしたいだけなのかと思いきや、彼の心情を吐露するシーン等もあるために、なにか製作者なりのサド侯爵に対する考察的なものが見られるかと期待させられます。 もしそれが目的としてあったのなら、私にはまったく読み取れなかったのでしょう。 一番気になるのはサド侯爵のキャラクターが破たんしているところです。 社会的に認められない欲求を文章にして解消するという行為に、異常なほど執着を見せる面と、それとは相いれない行為や考え。 サド侯爵よりも周りの人間のほうがよっぽど野蛮でしょ、ということを言いたかったのか…などと深読みしてしまいそうですが、本筋を進めるうえでサド侯爵というキャラクターを都合よく使った結果なのだろうと思います。 マルキ・ド・サドの人となりに興味があるのだったら、この映画を見るよりも彼の著作物を読んだ方がよさそうです。
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