針がとぶの評価
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各項目の評価分布
針がとぶの感想
人生を垣間見る
人は生きていく中で、他人と触れ合っていく。たった独りだけで生きていくことは不可能で、気がつけば色んな交流を経験してきているものだ。人と人とが複雑に絡み合い、出会って、話をして、そして別れて、その軌跡を辿ることは難しくもあり楽しいことでもあるのだろう。この作品では、そうした人と人との複雑な繋がりを少しだけ垣間見ることができる。一人の人生全てを見渡すことは、おそらく本人であっても難しいことで、自分がかつていた場所に誰かが訪れたり、自分がこの世から消え去ったあとに自分を追いかけるような人も現れるだろう。そうやって人は繋がって繋がって、綿々と流れを紡いでいく。この作品のつながりのキーワードは『ポークパイ・ハット』だ。少し不思議で、どこか懐かしい人生を盗み見るような気持ちで、舞台となる場所に空想を巡らすのも楽しいものだ。