90年代日本のリアルと、様々な「リバーズ・エッジ=境界線」
90年代日本のリアルと、様々な「リバーズ・エッジ=境界線」リバーズ・エッジ(河のほとり)というタイトルがこの作品のほぼ全てを表していると思う。これは様々な境界線を巡る若者達の物語だ。90年代のとある高校を舞台に、退屈な日常を過ごす主人公ハルナと、それを取り巻く人々が様々なレイヤーで描かれていく。作品連載が93年~94年とあるから、いわゆるバブル崩壊後の「失われた20年」が始まった頃だろうか。経済成長とバブル景気が終わり、豊かで均一化された近代国家として生まれ変わった日本で、「平坦な戦場」を生きる登場人物たちは、セイタカアワダチソウが生い茂る河原の、白骨化した死体に生のリアリティを見出だす。ここでの河とは、まさにあの世とこの世を分けるボーダーラインであり、河原はその狭間の地点ということになるだろう。実際に物語のほとんどのエピソードはこの河の周りで進んでいく。死体初登場のシーンでは、観音崎...この感想を読む
5.05.0
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