かもめ食堂の感想一覧
群 ようこによる小説「かもめ食堂」についての感想が10件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
テキトーに何回でも読める気楽さ
再読して1.3倍面白く読める豆知識本作品、同名の映画があったことは知っているが見たことはない、という状態で小説を手にした。読んでから知ったのだが映画用に書き下ろした小説、という位置づけらしい。そのせいか、映画と小説、どっちが先でも大した違和感はない。人気小説の映画化、なんてことになると原作との相違点、とか調べたくもなるが、まあそういう背景だし、そもそも気楽な話だから、考察とか考えずにここが良かった、ここはどうかな、と読んだ人、見た人と気楽に話すのが良いと思う。フィンランド舞台だけど情景描写あんまり無いな、と思ったら・・・映画試写会の群ようこ氏のコメントによると「フィンランドに一度も行かぬまま書き上げてしまって。私の唯一の汚点です(笑)」だそう・・・映画見てないけどこの小説好き、という方は見ていただきたいくらい、映画では何気なくではあるがフィンランドの美しい風景も描写されている。小説は情...この感想を読む
フィンランドにいきたい。
映画にもなってとても有名なかもめ食堂。映画もスローで落ち着くかんじだったけど、小説もそんなかんじ。日本人の女性がフィンランドでご飯屋さんをひらくというはなし。どんどん同じ日本人女性の仲間があつまってくる。最初はお客さんもいないんだけどどんどん街や人にもなじんでくる。アニメオタクのトンミがすき。海外に出て親日家のアニメオタクに会うとすごく安心するあの感覚がよみがえる。精神的な余裕がなくなってきたときに、ぜひ読みたい小説。とにかくゆったりと時間が流れていて、せくせく働いて生きてる都会人のこころの癒しになれると思う。こういう人生もいいなあ。
先に映画を見たけれど…原作の小説も良いですね。
映画「かもめ食堂」を以前見た事があって、大好きな映画だったので、親しみと興味があって、手に取った本です。なので、主人公のサチエは、想像上でも、小林聡美さんで、くるくるとかもめ食堂を切り盛りしているイメージのままでした。サチエの、かもめ食堂の運転資金の謎や、生い立ち、なぜフィンランドに来たか、の謎が解けて、読んでスッキリしました。他の登場人物(日本人女性)達、ミドリとマサコもそれまで、どういう生活をしていたのか、というのがわかって、これもスッキリしました。映画であまり描かれていなかった、細かいところがわかる事って、嬉しいのですね。小説、映画、どちらを先に読んでも、見ても、のんびり、ゆったりした感じがよく出ていて、お勧めです。
じんわりとあったかくなる物語。
宝くじが当たったことでフィンランドで食堂を開く夢を実現させたサチエ。来る日も来る日もお客はこない。そんなところに、ワケありでフィンランドへやってきたミドリとマサコ。現地の青年、トンミ君とのやり取り。少しずつだけど、サチエの頑張りで前進していく姿にいつのまにか惹きつけられる感じでした。ものすごくがむしゃらに、というわけではないけれどきちんと1歩ずつ進んでいく、というところに共感するのでしょうか。日本で肩肘はって、がむしゃらに頑張っている人に読んで欲しい、そんな本でした。映画もあるみたいなので、ほっこりした雰囲気を映像で味わってもみたいな、と思っています。
フィンランドに行きたくなる。
先に映画を観て、サチエ・ミドリ・マサコのかもしだす空気感がたまらなく心地良かったので、本を手に取りました。映画では省かれている人物像や背景などが描かれているので、映画のこぼれ話を拾っていく感じでおもしろかったです。日本人サチエがフィンランドで食堂をはじめ、マイペースで町や人々に馴染んでいく様子。そんなに深い内容はないですが、心を込めて食事をつくる温かい気持ちが伝わってきて、穏やかなに安心して読める作品です。読み終えたら、なんとなくフィンランドに暮らしたくなりました。普段はつつましく穏やかに暮らしているけど、時には「エアギター選手権」や「嫁背負い競争」などハチャメチャなお祭りなどで、普段体に溜め込んだエネルギーを発散させて、メリハリついて楽しそうです。
ほっこり
フィンランドのヘルシンキにあるかもめ食堂。 日本人のサチエが、ポリシーをもって経営しています。そこに、それぞれ事情をもってフィンランドを訪れたミドリ、マサコが加わります。指差しでフィンランドを指したから来てしまったとか、ニュースで面白い祭がやっていたからとか、なんだか適当な理由だけど、その背景には人生に行き詰った女性の悩みがあります。異国のかもめ食堂で、少しづつ英気を養っている感じです。日本のアニメオタクのトンミ君がいい味出してます。暗くなることもなく、面白いだけでもなく、たんたんと物語がすすんでいくのですが、なんとなくかもめ食堂のムードにはいりこめる、素敵な作品です。
ほんのり倖せに!
ある日、フィンランドで食堂をすることを思い立ったサチエ。宝くじが当たったところから、ヘルンシンキでかもめ食堂を始めます。しかし、メニューがおにぎり、お客さんがおたくの青年トンミだけ。経営危機になるかもめ食堂であったが、日本人旅行者のマサコとミドリが、手伝ってくれることになり、繁盛しだすストーリー。映画では、美しい風景描写と共に、美味しい料理に、ほんのり倖せ物語。日本での生活が嫌になり、フィンランドで奮闘する姿や人と人とのおかしな交流が、面白くて哀しくて、感動できます。群ようこさんの原作では、もっとシンプルで人物の設定がよく分かり、楽しめて読めます。かもめ食堂は、北欧の透き通るような環境に行きたいという日常の不満をはらせる良い1冊でおすすめです。
ゆったりとした気持ちになれる本
料理に興味を持った本人女性のサチエが夢を叶えフィンランドのヘルシンキで営む食堂。それがかもめ食堂です。貧乏学生しかはじめはお客がいないのですが、そこへ、日本人女性であるミドリとマサコがやってきて店を手伝います。だんだんとお客も増えてゆき、それぞれ違う性格の三人が過ごす毎日を描いた幸せな物語になっています。みんなに愛され親しまれる主人公。忙しい毎日に追われている人、心に余裕がなくなってしまった人におすすめした、スローブックです。人と人との繋がりと生きることを考えさせられる物語。この映画も素晴らしいので、合わせて見たい作品ですね。読んでから映画をみるのがおすすめです。
上質な映画原作
映画からこの作品に入りました。色々と、原作ではどう描かれているのだろうと気になって文庫を購入。正解でした。特に食堂を開く経緯、なるほどねえ。ニヤ。あとミドリさんやマサコさんの日本にいた頃のあれこれ。こういうの知るのがまた好きなのです。でもやはり変わらないのは、作品の持つ空気感。丁寧に料理を作るとか、普段考えてなかったことを見直させてくれます。出不精ゆえ基本的に海外どころか国内の離れたところすらあまり行こうとしない私でしたが、フィンランドにだけはちょっと行ってみたくなりました。宣伝をする訳ではありませんが、映画を見たことのない人は、ぜひ原作と併せてご覧頂きたいなと思います。
フィンランドに行きたいな。
タイトルの通り、あの映画作品『かもめ食堂』の本です。フィンランドの綺麗な風景、それと、サチエ、ミドリ、マサコがいっしょに働く、かもめ食堂のおいしい素朴な料理の数々。映画では、美しくて、食べたくなって、それと、主人公たちが身につけている洋服たちなどにも目を奪われ、とても癒される作品でした。合わせて、こちらの群ようこさんの本を読むと、されに、楽しめます。映画から、本を読む、でも、本を読んでから、映画を観るでも、どちらでも楽しめるはずです。少々、映画で抜けている部分、不明箇所は、この小説で補うことができますので、是非、本を手にとって、読んでみると良いかもしれません。