芋虫の評価
芋虫についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が3件掲載中です。
各項目の評価分布
芋虫の感想
芋虫のような、肉塊のような夫
こんな姿で、生きてるって言えるの?戦争から帰ってきた夫・須永中尉の姿はもう昔の夫の姿ではなかった。両手両足…四肢を完全に失い聴覚と味覚も失った。人の姿をした何か別のものにさえ見える夫を献身的に介護していくうちに須永の妻・時子は次第に夫を虐げることに快感を感じていく、「芋虫」と化した夫は最早人ではなく時子の玩具。世間から隔離されたような家で起こる異形の夫と妻の倒錯的小説。この小説は1929(昭和4年)に本格推理小説雑誌「新青年」にて掲載された小説。初めは「悪夢」と題されていましたがのちに「芋虫」に戻された。小説内に反戦的な表現と勲章を軽蔑するような表現があったことで編集者が当局の検閲を気にして娯楽雑誌だった「新青年」に回された。それでも伏せ字だらけの掲載で発表され、この小説は戦争中江戸川乱歩の小説は一部削除が命じられたものが多かったことに対して「芋虫」は全編削除だった伝説とでも言っていい小説。...この感想を読む