ヴィヨンの妻の評価
ヴィヨンの妻についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
ヴィヨンの妻の感想
太宰自身がモデルなのか
女に借金、挙句の果てに泥棒を働く詩人の、内縁の妻が語るという形式。今でもダメンズなんて言われますが、そういうのは昔からいたのだなと思います。旦那の泥棒被害にあった料理屋夫婦が家に押しかけてきて、それを妻に語るシーンは、笑い事じゃないけれど軽妙で面白いです。ダメすぎて笑いが出るというか、逆に清々しいくらいです。二人の息子は障害があるようで、これはダウン症だったといわれる太宰の実の息子がモデルになっているようです。一人息子を抱えて、旦那の盗ったお金を返そうと、料理屋で働く妻。何があってもくじけない妻が、何も分かってない夫に最後に言い放った「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ」という台詞が、心にずっしり響きました。