一千一秒物語の評価
一千一秒物語についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
一千一秒物語の感想
足穂とたむらの世界
稲垣足穂の代表作である『一千一秒物語』に、イラストレーターのたむらしげるが絵をつけた、絵本版・一千一秒物語だ。もともと、たむらしげるは稲垣足穂の作品に影響を受けていたそうだが、たむら氏の素朴なタッチのイラストに、足穂の世界観はなるほどよくマッチしている。たむら氏の作品はそもそも、『ファンタスマゴリア』や『銀河の魚』などに代表されるように、少しシュールだがどこか懐かしい作品が多い。足穂の作品も、ベースは『当時の最先端科学』でありながら、どこか奇妙なシュールさを持っている。二人の作家に共通する『飛躍した非日常性』がそうさせているのではないだろうか。たむら氏のイラストで、どっぷりと一千一秒物語の世界に浸って欲しい。