悪の教典の感想一覧
貴志 祐介による小説「悪の教典」についての感想が5件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
最後の言葉の意味とは?
この方の作品は、いつも最後に怒涛の展開を迎えてノンストップで終わりまで行くって感じですね。 最後の最後まで、ゾクッとさせるような展開で怖かったです。 人間て底知れぬものをもっているだけ、良いようにも悪いようにもなる。 悪いようになったときの発揮する力が底なし沼なんです。 とことん悪くなれる。 それをダメだと思う人と、楽しむ人と、その分かれ目が犯罪者になるかならないかなのでしょうか。 とにかく訳も分からず殺され、捕まっても一ミリも安心できない蓮見という男。 その心理を理解できない、理解したくないという人は、この本は受け入れられないと思います。 そういうものか・・・とあきらめないと見れませんね~これは。 最後のエピローグはいったいなんなんでしょうか?何がいいたいのか?何か真実がかくされているのか?ちょっとわからずにモヤモヤしました。訳がわからなすぎるわ~。 どなたか教えてほしいです。
サイコパスの掌の上
教員で非社会性人格障害(サイコパス)である蓮水。奇妙な色気を放つ。サイコパスの人間にとって教室は絶好の場である。殺人を起こすには、ではなく、人を牛耳り時には自分の思うがままに操作できるからだ。自分で人格者の自分を演じ、人の心を惹きつける手段を知っていれば、生徒を自分の掌の上で転がすことなんて簡単なのだ。さて上巻だが、あっという間に読み終えてしまう。すぐさま下巻に移り、あっという間に2刊読み終えてしまう。貴志 祐介 さんの頭の中はどうなっているかと興味がわくほど計算しつくされた犯罪。そして、この小説。映画は怖くてまだ見られていないが、小説は面白い。
意外性
主人公の最初のイメージは温厚で優しい人だったのに、凶悪な殺人鬼が本性だったことに衝撃を受けました。映画化された時、主人公の役をしていた役者さんのイメージはわたしの中ではあまりイメージ通りではなく、もう少し背が低くて柔らかい薄い顔立ちをしている人だと思っています。何度も殺人の場面が出てきますが、この作者の書き方も上乗せされてか、この小説を読んでいて夜眠るときに意味なく窓の鍵はきちんと閉めたか、などと確認したりしました。そのぐらい文章力があり、またでてくる登場人物の様子もうまく表現できていてずっとぞくぞくと背筋になにかがあるようなきがしていました。
こんな教師いたら…
最近やたらと流行っている山田悠介さんのような中高生向けの学園ケータイホラー小説です。何でこういうのがはやってしまうのか、世も末と感じてしまいます。そんな私がこの作品を読んだ理由はただ1つ。貴志祐介さんの作品だからです。学園を取り扱ったホラーである「ソロモンの偽証」を読んだのも、宮部みゆきさんの作品だったからでしたね。教師でルックスが良く爽やかな弁舌で、生徒や教師間でも人気のある蓮実が、実は共感性が著しく欠如している殺人鬼だという設定までは大変興味がわき、面白いのですが、内容はただ学生を殺戮していく浅いアクションのようなホラーに仕上がっています。貴志さんらしくないなと正直感じてしまいました。
主人公の奥行きが読むにつれてどんどん深くなっている
ハスミンという人間が「ただの天才」では無く「他とは違う天才」であることが話が進むに連れてあからさまになっていく流れは見るものを非常に惹きつけるものがある。そして、その内容が明らかになり「計画」から「実行」「完了」する物語は圧巻でした。また、様々な話の伏線がさらに物語を深くしています。話の概要を知らないで読むと、点と点が繋がる瞬間に驚きがあります。ある程度の概要を知っていたとしても各キャラクターの背景を自分なりに想像することも出来て2周目も十分に楽しめる作品だと思います。自分は3時間くらいでスラスラ読めて文章的にも難しい表現が少なく読みやすかったです。