檸檬の評価
檸檬についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
檸檬の感想
絵画のような小説
病気と借金で苦しみながら、「不吉な塊がいけないのだ」という主人公。美しい詩や音楽にも居た堪れなさを覚えて、街を放浪するのですが、その街の描き方、また主人公が行きたいと感じる京都ではないどこかの描き方が絵画を見ているような美しさがありました。何となく憂鬱な主人公の心境が、檸檬の鮮やかな黄色と、主人公の病気のせいで熱っぽい体を冷やしてくれる爽やかさが手に取るように伝わってきます。檸檬で丸善が木っ端微塵なんてことはありえないけれど、檸檬が何か主人公の心の中で鬱屈としていたものを解放してくれるような力を持っていたのだなと思います。檸檬を置いていく主人公を真似をする人が多かったそうですが、丸善は片付けが大変だったろうなぁ(笑)