処女連祷の評価
処女連祷についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
処女連祷の感想
乙女の気持ちをわかって
小説の背景とにかく、この作品を一言で言い表すならば「祐子という女のキャラクターの濃さ」につきると思う。私も自らの長い学校生活のなかで、祐子に似ている女の子は確かにいた。その頃は典型的な「かまってちゃん」だった。周囲から注目されたいという気持ちが強くて、時に女優になる。わざと、スッと目を伏せて元気のないそぶりを見せる。「どうしたの?元気ないじゃないの?」と尋ねられたら、もうこっちのもの。蜘蛛の巣にかかった蝶々のごとく、質問した側は興味のない話(往々にして恋の話である場合が多い)をいかにも心配しているような表情で、相槌を打つしかなくなってしまう。これは基本的な学校生活における女子の正しい行動パターンであるといえよう。さて、祐子の話は婚約者の醍醐公彦のことだが、他のクラスメートがその話を「またか」と思いつつも聞かずにはいられないのは、この小説が書かれた時代背景が影響しているからだと考えられる...この感想を読む