人間は面倒な生き物だ。だからこそ、この映画が生まれたのだ!
誰しもの潜在意識の中に、井上真行の世界観は存在する。私が大好きな映画監督の一人でもある井上真行監督の映画を、念願叶ってやっと手に取ることができた。この監督の存在は、まだあまり大々的に世間では知られていないかもしれないけれど、彼の世界観にはずっと前から胸をくすぐられる・・・というよりは、胸を突き刺されるような感覚があって、彼の映画を観た後には必ず、良くも悪くも己の存在と向き合わされる。誰もが気付かないフリをしたい、誰もが気付かないまま通り過ぎてしまいたい本当の自分、そんな胸の奥深くに沈めておきたい闇に包まれた決して美しくない感情を、井上監督はほじくり返してくる。そしてそれはきっと、監督自身が自分で自分の胸をえぐりまくって生きているからなんじゃないかと、私は思う。この『正しく忘れる』もやはり、またもや私の胸を見事にえぐってくれた。最大の苦しみは、自分への嫌悪感。借金の保証人になって自殺した...この感想を読む
5.05.0
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