箱入り息子の恋の感想一覧
映画「箱入り息子の恋」についての感想が4件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
コンプレックスを脱ぎ捨てるまで
コンプレックスに腰掛ける主人公主人公の天野雫健太郎はさえない公務員。決まったルーティンにロボットのように従う。そこから脱却したいとは思っていないよう。例えば女性と付き合ったことがないとか、女性と話すのが苦手とか、仕事でも現状維持のまま、といったコンプレックスに気づいているのにどこかその状況を仕方ない、と思い甘えているようにさえ見える。まさにコンプレックスに腰掛けているような主人公。コンプレックスの中にいることが当たり前になっていて、むしろ他の世界なんてあるんですか?あっても面倒くさそうなんで結構です、というふてぶてしささえ感じる。そしてそれを見て勝手にヤキモキする両親と共に、見ているこっちもヤキモキイライラする。友達は爬虫類だけの35歳なんて…箱入り息子と言うよりは箱に自ら入ってます息子という感じ。年齢の数ほどコンプレックスと一緒に生きているわけなので、それを無くそうなんてよっぽどのきっ...この感想を読む
地味なのにすごくいい映画
星野源の出演作を遡って今期話題だった連続ドラマのブームに流されて、すっかり星野源の魅力にハマってしまったので、彼の過去の出演作を調べて片っ端から見ています。そのうちのひとつがこの映画でした。「逃げ恥」と同様に、星野源さんはここでも恋愛未経験の男性を演じているわけですが、3,4年前に撮影されたものだから今より若いはずなのにも関わらず、映画前半部分での彼は本当に気持ちが悪くて笑えました。その辺にごまんといるであろう、地味でやばそうなやつという役どころを見事に演じています。実際の星野源さんはとても明るくて社交的で太陽みたいな人なのに、役のハマり方はあっぱれです。本当の姿はもしかしたらこっちの地味男の方で、ラジオやバラエティでは無理してるのかも?とも思ってしまいました。それくらいハマってました。もちろんスタッフによる演出の効果も絶大だと思います。映画内で着用しているメガネの形が本当に前時代的でダ...この感想を読む
障害がある恋は燃える
きゅんとくる恋愛邦画でここまできゅんとさせられる映画も珍しいと思いました。ヒロインの奈穂子が目に障害を持っているということもあり、恋愛の仕方もすごくロマンチック。無愛想とかそんな風に周囲に思われていた主人公の健太郎だってじつは本当はすごく誠実で優しい人だってことがわかりましたしね。最初の出会いから自分の傘を見ず知らずの彼女に貸すっていう。内気だっていうわりには自分からちゃんと声をかけてるし、彼女の父親にも自分の思ったことをちゃんと伝えてて男らしいとさえ思ってしまいました。目の見えない彼女を誘導するために手を繋ぐことを彼女の母親にきちんと承諾をもらいにいったり、吉野家に牛丼を食べにいったとき彼女が左利きだとわかりそっと腕があたらないように席を移動したり。こんなマメな気遣いができる人がなぜ今まで彼女ができなかったの!って思ってしまうほど優しかったです。普段私ベッドシーンってあまり好きじゃな...この感想を読む
星野源さんから
わたしは、星野源さんのファンでこの映画を観ました。彼は本当に健太郎のような役が似合うなあと改めて思った作品です。この作品は、ラストが曖昧でこれからも健太郎と奈穂子の恋は続くんだろうなあと、その後を想像できる終わり方でした。「迷惑はかけていないだろ」と言ってずっと実家暮らしの健太郎や、娘の気持ちは二の次で自分の価値観などで娘のことをすべて決めてしまう父親、そしてその父親に逆らえない母親と娘。どこにでもいる家庭の問題を結婚という視点から映画にしたものかなと思います。個人的に、健太郎が眼鏡からコンタクトレンズにするシーンがお気に入りです。奈穂子は目が見えないわけですから、健太郎がどんな容姿であっても関係ないのに眼鏡をはずした健太郎。ちゃんと奈穂子に恋をして、奈穂子と会うときは少しでもかっこいい自分でいたいという気持ちの変化が表現されているように思いました。また、ラストの健太郎が病室から点字の...この感想を読む