素人には手に余る手法
ミニマリズムの映画ミニマリズムという言葉があって、もともと美術や音楽での批評用語ですが、映画ではジム・ジャームッシュ監督の作品に対してよくこの形容が使われます。つまり、劇的なプロット展開を避け、俳優の演技も日常生活とほとんど変わらないような抑制されたものに徹することで、これまで気づかなかった生活の断面を示そうというスタイルです。確かに出世作となった「ストレンジャー・ザン・パラダイス」から、近年の「ブロークン・フラワーズ」や「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」にいたるまで、ジャームッシュ作品には激しくドラマチックな要素が希薄で、普通の人間であれ吸血鬼であれ、登場人物が妙に諦観を帯びた趣があります。ジャームッシュ自身が口にしているように、日本では似たような作風の持ち主に小津安二郎という偉大な先達がいます。小津は戦前の「父ありき」、そして戦後に製作した「晩春」「麦秋」「東京物語」などの...この感想を読む
1.01.0
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