南極料理人の感想一覧
映画「南極料理人」についての感想が10件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
まとまりのない人たちが料理をかすがいに共に生きて行く面白さを描く
どこにあっても人は所詮凡庸である2009年作品。タイトルのとおり、「南極観測隊の人々のために、共に南極に住み、料理を作る仕事をする人」の物語。この設定には理屈抜きで誰もが興味をそそられるのではないでしょうか。「滝を見に行く」の沖田監督のメジャー長編デビュー作だったんだ、ということと、このキャッチーな舞台装置を理由に、特に深く考えないまま見てみることになったこの作品。少しも深刻ぶったところがなく、終始くすくす笑いで楽しめ、そして見終わったあとには胸に温かいものがほんのり残る良作でした。「南極観測隊」という言葉の響きはいかにもドラマチックなのに、作品のトーンは非常にゆるゆるとした、牧歌的なものです。あくまで地味でルーティーンで、ひたすらうだうだとした日常。そこには南極観測隊!的マッチョなヒロイズムは存在しません、拍子抜けするほどに。格好いいとはいえないむさくるしい男たちが格好悪く共同生活を営ん...この感想を読む
凝縮された人間ドラマ
思わずニヤっと笑ってしまうようなゆるいコメディ。これを20代前半の男女が演じて、舞台が学校だったら青春群像劇と言えるのだろうが、中年のおじさんたちが主人公で舞台が南極だったら何と表現すればいいのだろうか。けれども味は十分に染み出る程で、一人一人が愛されるべきキャラクター。特にきたろうさんとラーメンのくだりは爆笑。バカバカしいのだけど南極にいる彼らにとってラーメンがいかに大切な存在なのか。これからラーメンを食べる時にはもう少しありがたく頂きたいと思う。南極という現代社会から切り離された土地で研究を続ける観測隊。実際は違うのかもしれないが、こうであればいいな、と思わせる人間ドラマが詰まっている。
退屈な日常って幸せと思ってしまいます
ウィルスさえ住めない極寒かつ高度が高く、空気の薄い富士ドーム基地で暮らす南極観測隊の越冬生活を、調理担当の海保職員の目から描いた作品です。彼は、本来、南極に行くつもりなど、毛頭ありませんでした。しかし、南極観測隊になるという夢をかなえた同僚が不慮の事故で亡くなってしまい、急遽、単身赴任命令が下るのです。それでも、めげることなく、日々を送っていくその前向きな気持ちには、本当に拍手したくなrます。全体としては、ほのぼのコメディタッチです。狭い空間、限られたメンバー、制限の多い厳しい生活ということで、もちろん、対立する人同士が現れたり、心がすさんだり、折れたりする人が出たりもします。そんな人間の弱ささえも、笑いたっぷりに描かれていて、決して暗い気持ちにはなれません。むしろ、「あるよね、こういう気持ちになること」と無性に納得して、解決する度にほっとします。ただ、調理担当の人の目線で描かれている...この感想を読む
バターのくだりに涙目
美味しいよね、バター…。日本にいるよりも楽しみが制限されるのは必至の南極での滞在に、食の面で大きなサポートをする南極料理人の西村さん。本物の西村さんは北海道の午後によくテレビでお見かけします。いいキャラです。どのような暮らし、そして食生活をしていたのかが淡々と楽しく描かれていきます。これがもっとエンターテイメント感溢れてしまうとまたちょっと違うんだろうなと思います。この淡々さがちょうどいい。映画に出てくる食事は飯島奈美さんが工夫を凝らしています。皆を喜ばせたいという気持ちが料理に現れていて気持ちのいい作品になっています。式典的な日の食事は、正装もするんですね。給仕役もいたりして、微笑ましかったです。西村さんは2回行ってるはずなので、映画もパート2が実現したら嬉しいです。
もう一度観たくなる!
何気なくみた映画でしたが、すごく面白かったです。 邦画ってあまりみないのですが、これは日本人らしさというか違和感なく普通に楽しめました。 南極で料理人をする男性が主役なのですが、周りの人たちもなんだか良い味をだしてて「プッ」って笑ってしまいます。 この中で、堺さんが作ったラーメンがめっちゃおいしそうですっっごい食べたくなり、とうとう家にあったカップラーメンを食べました(笑) 人って、おいしいものを食べているときが一番幸せなのかもしれないな~って思わせてくれる映画です。 家族とのかかわりもちょっと出てくるのですが、旦那のこと嫌いなのかな~って思ってた奥さんが、南極から帰ってくるってなったときにすごく喜んでいて、夫婦ってわかんないもんだなあって思いました。観終わった後、ちょっとだけ家族っていいなとも思えてきます。 ふとした日常なんだけど、ちょっぴり色々考えさせてくれ、そして笑える、おいしそう...この感想を読む
ほのぼのとした非日常。
南極大陸ドームふじ観測拠点に派遣された隊員達の日常を描く作品。堺雅人さん演じる調理担当の主人公の視点で話が進むため、日々の食生活中心に話が進みます。こうした環境下で活動している人たちの日常というのは、あまり知ることができないので色々と勉強になりました。隊員を演じる俳優さん達がみんな個性的で、面白かったです。日本とは全く異なる環境で、隊員たちの安らぎとなるのがやはり食事。食べることというのは、人間にとって大切なものなのだということを改めて感じました。作中で堺雅人さんが娘に「美味しいもの食べると元気が出るでしょ」と言うシーンがありますが、この作品のテーマはまさにこれだと思います。ほのぼのとして温かい気持ちになれる作品です。
非日常を生きる人々の日常
堺雅人さんの魅力が存分に引き出された作品のひとつ。南極基地での観測隊の人々の暮らしぶりが描かれた作品。元はノンフィクションというだけあってとてもリアル。かつ、とてもユーモアに富んでいる。「料理人」であるところの主人公以外の登場人物も皆それぞれに魅力的で、それぞれに背景がある。家族を日本に置いてきた人。恋人を置いてきた人。これを機会に体力を鍛えているお医者さん。etc.etc. 観ているうちに、一人ひとりが愛おしくなってくる。最後の、日本に戻って来てからの家での様子、家族からの扱われ方もいいし、最後の最後のオチもまたキマっているなぁ、と思った。料理人だけあって料理がたくさん出て来るので、そういう観点から観ても面白い作品。
ほのぼのコメディタッチで面白い
南極観測隊の日常を料理人の視点から描いたコメディタッチの映画です。原作のファンだったのですが、映画からもその面白さは十分伝わってきます。堺雅人が主演で、料理人の役ですが、この映画は登場人物全員が結構癖のある人ばかりで、主人公そっちのけで存在感ありまくりです。たわいもない会話やちょっとした事件なども、どこかクスッと笑える感じで良いですね。伊勢エビのくだりはどーしてこーなった・・・とわたしまで絶望しました。ああいうノリも南極ならではなんでしょうか、ちょっと羨ましくもなりました。南極なめんな!と言われれば返す言葉もないですが、隊員たちのゆるゆるな日常は見ていて面白かったです。
イセエビはエビフライ!?
限られた食材で、しかも、あの環境で、カロリーなどの栄養バランスを考えつつ飽きない食事をと・・・しかし豪華すぎる食事。おにぎりさえも、とても美味しそうでした。でも、寒すぎる生活の恐さなのか、バターを食べたり、イセエビの食べ方をみんな「エビフライだな!」というシーンには驚かされました。状況的には、みんな厳しい環境ではないのか、と、思わされるが、なぜか楽しそうで。わがままをいうやつや、問題も少々起こっていたが、この個性あふれる8人の組み合わせがなんとも言えず、面白い。なにより、堺雅人の料理人役がいい役柄になっているのも、見所でした。
南極観測隊のリアルな生活!
西村淳原作のエッセー「面白南極料理人」の映画化作品。主人公は南極観測隊の料理人として単身赴任生活を送る西村(堺雅人)科学者や車両整備士、気象観測士達8人のまかない飯を作る西村が隊員のわがままや自分勝手さに翻弄されていく様が滑稽で面白いです。生き物の生息できない過酷な環境の富士ドーム基地が舞台なのですが、緊張感のない隊員達の個性が面白おかしく描かれています。ラーメンを食べたくて泣いてしまう隊員のために麺を打ったり、伊勢海老をエビフライにしたりと料理映画としても楽しめます。後半8人家族のお母さんのように描かれているところが微笑ましくて好きですね。おすすめです