笑の大学の感想一覧
映画「笑の大学」についての感想が4件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
俳優の演技力が面白さの明暗を分ける
役所広司さんが面白い役所広司さん演じる向坂の理不尽さが、本編の笑いの全てを担っていると考えられます。当作品の主人公は、稲垣吾郎さんが演じる椿一です。しかし、本編の中で、主人公であり主役の存在を、喰ってしまっているのが向坂の存在です。それだけ、存在感が大きく、演技が光っていることの表れと考えられるのではないでしょうか。一方の稲垣吾郎さんはSMAPとして、歌や踊り、タレント業でも活躍されている方です。やはり、演技の面では、役者業を専門としている役所広司さんに分があるのだと考えられます。役所広司さんといえば、「Shall we ダンス?」で主演されていたイメージがあり、とても穏やかな印象の方です。しかし、当作品の向坂は、「Shall we ダンス?」のイメージとは全く異なるもので、堅物の印象が強いです。また、戦時中における警察官というのは、恐ろしい印象であり、怒らせようものなら逮捕されてしまう時...この感想を読む
せめてキャストがしっかりしていれば
確かに純粋なコメディー映画で、笑えるツボもポイントもたくさんある。けれど、ほぼ2人だけのシーンの映画を2時間、笑うポイントは言葉遊びということを考えると、飽きるというか、とても疲れてしまった。これが臨場感のある舞台であったら話は別だ。けれど、映画という臨場感はないけれど選択肢は多くある環境の中で、なぜ敢えてそれを捨ててしまったのか分からない。いくら面白い作品でも、飽きには勝てない。その中でもキャストがしっかりしていればいい。現に役所広司さんは迫力のある検閲官を演じられていたけれど、演技力不足のアイドルでは薄っぺらい。いっそのこと三谷幸喜さんが演じていたら、暑苦しいけれど憎めない2人のクオリティーが上がったと思う。
計算された滑稽っていいよね。
「笑の大学」というのは劇団名なんですね。座付き作家の稲垣演じる椿一は、その検閲厳しい時代にあって尚なんとか喜劇を人々に届けるべく、役所演じる検閲官・向坂を巻き込んで台本に手を加えていくお話です。2人とも相っ当、出ずっぱり。大変だったんじゃないでしょうか撮影。特に向坂は、にべもないところからのテンションの変化ですもんね。台本通りの順番じゃないと訳わかんなくなりそうです。お疲れ様です。星監督の作り方も、特に二人の遣り取りのエスカレートの際の撮りっぷりなど、楽しんで観ました。惜しむらくは変な日の変な時間に片田舎の映画館で観てしまったため、観客が私しかいなかったことだ…。面白い場面も、シーン…… 面白い会話があっても シーン………なんか、ごめんなさい。やっぱり大画面で見るなら誰かと空間を共有したいものですね。あと、三谷さんが監督になった笑の大学もちょっと観てみたかった気もする。この感想を読む
戦時中に三谷幸喜監督がいたら……。
表現の自由が制限された時代。喜劇も笑いだけが目的ではなく、劇によって思想を植え付ける時代だ。「人を笑わせることが大事なのか?」と疑問を抱く検閲官・向坂(役所広司さん演じる)と笑いを作る作家・椿(稲垣吾郎さん演じる)のやり取りが90%を占める。「お国のために」を「お国ちゃんのために」「お肉のために」と戦時中の滅私奉公の思想を笑いに変えていく椿。きっと、この時代に三谷幸喜監督がいたら、椿のような人物だったのだろうと思える。本作品は、どちらかというと年配者向けの作品のような気がする。そして、SMAPのゴロウちゃんの滑舌にエールを送りたくなる作品だ。