es [エス]のあらすじ・作品解説
人は肩書や地位によってその役割に従い行動するか?という、実際に最悪の結果となり禁止となった”スタンフォード監獄実験”を描いたマリオ・ジョルダーノの著書「Black Box」の映画化作品で、自身が脚本を担当し、2001年に公開されたドイツ映画。監督は「ヒトラー暗殺、13分の誤算」のオリヴァー・ヒルシュビーゲル。 拘束時間2週間、報酬4000マルク、実施場所模擬刑務所という新聞広告にタクシー運転手タレクは、潜入取材ネタとして出版社と契約した上で面接を受け合格する。実験当日、責任者のトーン教授から、基本的人権を侵す場合もあるとの説明を受け承諾する。20名ほどの被験者は”看守”と”囚人”に分けられ、囚人役となった彼は、野心から過度な演出を試みるが…。 囚人役タレクを「素粒子」のモーリッツ・ブライブトロイ、シュタインホフを「誰がため」のクリスチャン・ベルケル、看守役ベルスを「コーヒーをめぐる冒険」のユストゥス・フォン・ドナーニー、トーン教授を「ルードヴィヒ」のエトガー・ゼルゲが演じている。
es [エス]の評価
es [エス]の感想
人体実験の恐ろしさ
esはスタンフォード監獄実験の実話を元にして作られた映画だと聞き大変興味を持ったのですが、グロ怖いと聞き一人で見るのは怖かったので友人と3人で見てみました。最初のうちは、看守役も囚人役も実験だから…とふざけていたのに対し、「この実験は看守側にかかっている、もっと注意しないとそれでは甘い」といった実験主催者の言葉に役を全うするだけ、これは実験だから役になりきって行動しなければ!と考えていたのに対して日が経つにつれあいつらがむかつく、なめられてたまるか。仕返ししようなど、みんなが役に飲み込まれていく…人間の心理は恐ろしいものだと感じました。映画なので多少話が盛られている部分があるとは思いますが実話を元にしたというところが一層恐さが増します。主人公の優しさと行動力は見ていてスカッとします。怖いと聞いていたので、いきなりビックリするようなシーンでもあるのかと思っていたのですが、特にそういったシー...この感想を読む
実際に行われた。
実際に行われた実験を再現、映画化したもの。ホラーなのか、ドキュメンタリーなのか、サスペンスなのか。実験のために高額で被験者を募る。被験者を囚人と看守にわけ、ロールプレイさせる。囚人はより、囚人らしく、看守はより看守らしく、どんどん人格が変化し、行動にも出てくる。立場・肩書き・権限が、いかに人間の心理状態・行動に関わってくるかがわかる。実際の実験は、途中で終わり、看守役はもっと実験を続けたいと言っていたらしい。状況に流される、人間の心理ってすごく怖いな、と思う。治験バイトって日本にもあるけど、未だにこういうのって行われているのかな。
人間とはここまで残酷になれるのか
あまりに凄惨な結果になってしまったため、心理学史上、禁断の実験となってしまった『監獄実験』という実際の実験を映画化した作品です。学生時代、心理学を学んでいたので『監獄実験』の内容も、結果も知っていたので、映画の演出上脚色され、強調されている部分が、実際に似たような行動を人間が実際に取ったのかと思うと、自分のことが怖くなりました。実験としては、報酬と引き換えに集めた人々を無作為に『囚人役』と『看守役』に分類し、囚人は囚人のように番号で呼び、看守には囚人を罰する権限を与えるというものです。その結果、囚人役の人は卑屈になると同時に復讐芯を持ち、看守役の人は傲慢で、残虐になっていきます。立場・肩書というものが、普通の人間を狂気に駆り立てる……それは、戦争にもつながるものがあり、本当に怖い話です。メンタル的に弱っている時は、観ないことをお勧めします。個人的には、『監獄実験』の細かい手続きを学んで...この感想を読む