孤高の人のあらすじ・作品解説
孤高の人は、週刊ヤングジャンプにおいて2007年から2013年において連載されていた、山岳をテーマにした漫画作品である。原作は、同タイトルの小説の作者である新田次郎であり、同タイトルの小説を原案にして、坂本眞一が作者となり、全17巻が発行されている。 主人公の森文太郎は、過去のトラウマから心を閉ざすようになり、学生生活においても人間関係が希薄な状況が続いていた。しかし、転校した先の同級生である宮本一に出会うことで、ロッククライミングに出会い、徐々にルートクライミングへの興味や本格的な登山を経験することに。 高校生活において、初めて生きがいと感じられるものを見つけ、文太郎のクライマーとしての成長を、雪山登山の過酷さのリアルな表現を混じえながら描いている。同作品は、2010年の文化庁メディア芸術祭優秀賞に選ばれており、集英社のデジタルコンテンツであるVOMICでヴォイスコミックとして配信されている。
孤高の人の評価
孤高の人の感想
生と死を描いた山岳マンガ
山岳マンガとは登山マンガ、山岳マンガというジャンルは、スポーツ、恋愛、ファンタージーといったジャンルに比べて数が少ない。筆者も読んだ山岳マンガが 「神々の山嶺」 「岳」 「告白-コンフェッション-」 と、本作 「孤高の人」 くらいしか思い浮かばない。この記事を書くに当たって他にもあるのかと調べてみたが、やはり総数が少ないようだ。数が少ないのはなぜだろうかと考察してみた。そもそも山に登るというスポーツに人気がないのか?というと、実はそうでもない。最近ではボルタリングが若い世代にも人気があり、専用のジムも日本全国に点在しているし、映画では、「運命を分けたザイル」 「バーティカルリミット」 「クリフハンガー」 「K2」 など大ヒットした映画も多い。山登りに魅力がなければ人は山に登らない。しかし一方で毎年のように 「山の事故」 のニュースを見て、多くの人が、「なぜそんなに危険なことをするのか?」 と思うものも事...この感想を読む
山に魅せられた男のリアル
小説よりもよりリアリティを私はこの漫画が小説から始まった「加藤文太郎」という物語出会ったとは知らなかったのだが、漫画だけでもそのインパクトはすごかった。なんかこう…これだ…!っていうものに出会うまでの悶々とした状態から、出会ったとたんにそれは勢いよく始まって、動き出したら止まらなくて…生きてるって思えるだけの何かを探す人間って、心底めんどくさいし、心底すげーと思わせてくれる。小説版では、主人公の森文太郎はどちらかというとヒーローのような立場。だけど漫画では、ヒーローなんかじゃない、ただの森文太郎がいて、苦しんで苦しんで、山の頂をただ目指す気持ち・渇望がずしんとくる。人と関わるたび傷ついて、歩み寄れたと思ったら離れて…いったい何人死ぬんだよってくらい山で人は死ぬ。そうまでして登りたいと願う気持ち、上った人でなければわからない気持ちがそこにはあるんだろうけど、山登りに興味がなくたって何かに...この感想を読む