ジャッカルの日のあらすじ・作品解説
「ジャッカルの日(原題:THE DAY OF THE JACKAL)」は1971年に出版されたフレデリック・フォーサイスの小説を原作とする映画である。1973年にユニヴァーサル映画により製作された。 上映時間は142分で興行収入は$16,056,255を記録した。 監督はフレッド・ジンネマン、主演はロンドン出身の俳優エドワード・フォックスである。本作はフォックスの出世作でもある。 舞台となるのは1960年代始めのフランスである。 この映画は、第五共和制下のフランスにて時の大統領シャルル・ド・ゴール暗殺を企てる武装組織が雇った、「ジャッカル」というコードネームの暗殺者の暗躍と、彼らの暗殺の阻止を一任されたフランスの警察官ルベル警視の息詰まる追跡劇である。 社会派サスペンスの名作として、2015年時点でもレビューサイトなどで高い評価を獲得している。 日本では日本テレビの『水曜ロードショー』で1977年4月13日に初放映された。
ジャッカルの日の評価
ジャッカルの日の感想
地味であるがゆえの名作
淡々と進む追跡劇地味。この映画を語る最初の一言は、まずそれだろう。本作のプロットは、暗殺者ジャッカルがシャルル・ド・ゴール大統領を暗殺するために抜かりなく準備をし、身を隠し網をかわしてパリへと向かっていく視点と、そのあとをピッタリと追いかけていくルベル警視の追跡の二つからなるわけだが、そのどちらもがなんだか大変に地味である。簡単に言えば、山場というものが欠けているのだ。中盤の盛り上がりとか、最初からグイグイ惹きつけるだとか、そういうケレン味は一切ない。ただ大統領を暗殺したい男と、それを阻止したい男の、派手さも遊びもない真剣勝負を、リアルに、実直に、そのままな雰囲気で描いている。昨今の映画ならありえない地味さだろう。故に、娯楽サスペンス映画として本作を見た人は、「眠たくなった」と評することとなるに違いない。何が地味なのか本作が地味である理由のほとんどが、リアリティへのこだわりが徹底されて...この感想を読む
簡潔で客観的なカットの積み重ねで、息詰まるような緊迫感を盛り上げる社会派サスペンス映画の秀作 「ジャッカルの日」
サスペンス映画というのは、一難去ってまた一難で、主人公の運命はどうなるのかということに、観ている者をハラハラ、ドキドキさせる映画、それも単純なアクションものではなく、意表をつくアイディアと、ストーリーのうまさと、映画的なテクニックのあの手この手で、グイグイ引っ張っていく映画、そういうジャンルの娯楽映画として、ずば抜けて面白いのが、名匠フレッド・ジンネマン監督の「ジャッカルの日」だと思います。何よりもまず、着想が実に凝っています。サスペンス映画というのは、とかく現実にはあり得ないような話になりやすいものですが、これは、もしかしたら現実に本当にあったかもしれない話であり、世界の政治の動向にも関わりのある事件なのです。すなわち、アルジェリアの独立をめぐるフランスの植民地の叛乱で、その時代のド・ゴール大統領の暗殺計画が次々に行なわれ、いずれも失敗に終わった時、表面には出なかったが、もう一つこう...この感想を読む