シャイニングの感想一覧
映画「シャイニング」についての感想が7件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
ある種の芸術作品
スティーヴンキング原作を基に、巨匠スタンリーキューブリックが監督を務めた会心作。雪に覆われたホテルを舞台に、逃げ場のない恐怖が一家を襲うサイコホラーとなっています。この映画を見る上での注意点は、基本的に「どうして?」と思った事への返答がまったく用意されていない点です。雰囲気、リアクション、演出そういった部分をドキドキしながら観る事が、この映画を最も楽しむことのできる観方でしょう。まあ、ホラー映画って基本的にどれもそんな感じじゃない?わりと有名な逸話ですが、主演の女優さんの鬼気迫る縁起は、何度も何度もNGを出して、実際に精神的に追い込まれたホンモノの演技なんだそうです。映画撮るのも大変だわね。しかし相変わらず、このパッケージのインパクトは、今でもこれを超えるものをお目にかかったことがないほどの完成度。何度も観たい映画じゃないけれど、一度は観た方がいいとすすめられる映画です。この感想を読む
怖すぎます。
主人公の父親が段々正気を失っていく課程が怖いです。自分ならどうするかとか考えることができないくらい怖いです。丁寧に描写されていくその課程のために、ホラー映画の中でも名作といえるのではないでしょうか。か弱そうな妻が気丈にも息子を守って立ち向かうのはエライ。完全に正気を失った夫に案外冷静に立ち向かっているように見えます。鏡を利用した演出・正気でないジャック・ニコルソンの妄想と現実の入り混じった映像は恐怖をいっそう煽り立てるのに充分です。怖いのにまた観たいと思ってしまう魅力はまさにこの作品ならではです。それにしても、自分ならこんな状況にあったらやってられません。怖すぎます。自分と息子の命を見事に救った妻に拍手です。
雪に閉ざされたホテルの中で
冬場に外界から孤立したホテルの管理を任された三人の家族。過去にあまりよくないことがあってこのホテルの職に流れてきたのですが、一人息子には未来を予知できたり、特別なことを感じてしまう特殊能力が備わっています。その彼はどうしてもホテルに行くことが気が進みませんでしたが、親の都合でどうしても乗り込むことになります。小説を書いてる父親はタイプライターに熱心に作業を行いますが、その間に息子は異常な体験を味わい、このホテルに管理人が家族を殺して自殺した過去など、因縁があることが明らかになっていきます。そうしたこのホテルの持つ魔力によって家族に不幸が訪れます。ホラー作品としてはちょっと途中で展開が読める部分もありましたが、やはり途中の狂気の描写だとか、不気味さを醸し出す雰囲気など要所で強い印象を受ける部分がありました。
狂気の映画
シャイニングはただのホラー映画ではない。じわじわと迫り来る、身近な人が知らない人になる恐怖がある。おばけがどうとか、怪奇現象がどうとかいう問題の作品ではないので、それが余計に怖い。作家志望の父親が、休業中のホテルの住み込み管理人となる。雪に閉ざされた三人だけの生活の中で、父親がじわじわと狂っていく様はとても怖い。息子にはシャイニングといわれる超能力がある。ホテルの隠された過去を知り、同じ能力を持つコックに助けを求める。ジャック・ニコルソンの演技、カット割り、音響効果がすばらしい。音響効果で、数倍は怖さが増しているといっても過言ではないと思う。
狂気の美学
この映画のためにキューブリックは山林の中に巨大なホテルのセットを建てた。どう見ても本物にしか見えない。また、テイクを何十回と重ねることで俳優に過重な負担をかけ、ジャック・ニコルソンやシャーリー・デュバルを精神的に追い詰め、役そのものの精神状態にしたそうだ。その甲斐あって(?)ジャックの演技はスリラーにふさわしい鬼気迫るものとなっている。幻影のナイトバーで酒を飲みながら息子への執着を憑かれたように語る彼の長めの台詞は観ていて陶然となる。また斧でドアを叩き割るシーンも血沸き肉踊るものだ。このホラー映画はそれほど恐ろしくは感じないが、「完璧主義者」と呼ばれるキューブリックが生み出した最も美しいホラー映画だと思う。
だんだんと父親が狂ってくる恐怖・・・
昔観てから怖くてよくできた映画で気に入っていたのですが、“レッドラム”というWordを突然思い出して最近また見たくなり、購入しました。始まりをみて、そうだ、この家の管理を任されてそこから物語が展開されていったんだなあと思い出しました。この母親は正常なんですが、役者さんの顔が印象的でよく覚えています。悪い意味ではなく、いい意味で怖い顔。恐怖する顔も恐ろしく雰囲気にあっています。そして、パッケージにもなっている父親の除く顔。怖すぎます。限られた場所だけでのホラーものとしては、優秀。追い詰められて父親が徐々に狂っていく様子もよく演出できています。これが最高峰だと思います。
映像美
キューブリックならではの映像美が堪能できます。私は扉がばーんとなって血がどわーってシーンがかなり印象に残っています。オフシーズンの別荘ホテルが舞台で、かなり閉塞感があります。ジャックニコルソンの夢と現実の区別がだんだんと曖昧になってくる狂気の世界が描かれています。でも彼がだんだん狂っていくだけなら、それほどでもなかったかもしれません。怖さを倍増させているのが完全にまともな奥さんと子供の存在です。正気の人間も登場させ続けることでジャックニコルソンの異常性が際立ちます。彼の家族はかなり災難というか、本当に怖い思いをしてかわいそうになりました。(かなり普通の感想ですみません)