蛍火の杜への感想一覧
アニメ「蛍火の杜へ」についての感想が4件掲載中です。実際にアニメを観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
同原作者の作品「夏目友人帳」と比較してみた。
「夏目友人帳」のスタッフが制作この作品は、原作者が同じである「夏目友人帳」のアニメスタッフが制作している。たぶんほとんどの人が「夏目友人帳」の方を先に見ているのではないだろうか。「夏目友人帳」と通ずる点は?大きな違いは何か?じっくり比較してみようと思う。舞台はどちらも 緑豊かな 田舎まち「蛍火の杜へ」は奥深い山でのシーンが多いが、蛍のおじいちゃんの家があるのは畑や田んぼが広がる田舎である。山々が広がり、小川が流れている風景は「夏目友人帳」と通ずる点である。「蛍火の杜へ」を観始めて、「夏目友人帳」でも観たような風景が出てきたので、ホッと落ち着く感じだった。「夏目友人帳」にはいくつかの癒しポイントがあると思うのだが、そのひとつはその田舎の風景であると思う。多くの自然や小さな神社や祠が描かれ、そこで暮らす人々の穏やかな雰囲気は、夜中でも車の走る音がする街で暮らす私からすると、憧れでもあり、心を...この感想を読む
異形の者が求めた人間のぬくもり
夏目友人帳のスタッフ作成の少し短めのアニメ映画「蛍火の杜へ」異形の者であるギンと純粋な少女、蛍の物語である。夏目友人帳と比べると不思議な雰囲気でシリアス感も強い。夏目友人帳の主人公、夏目は妖怪が見える人間だが妖怪にも人間にも心を開けないでいる。(初期の段階でのこと)一方、蛍火の杜への主人公ギンは人間だとも妖怪だとも言えない存在だが妖怪とも人間とも仲良くしている。最も仲良くしているのは蛍だけかもしれないが、それでも人間に対して良い印象を抱いているようではある。彼は人間に触れると消えてしまうため触れ合いたくても触れ合えないのだ。最後のシーン、転びそうになった子供を人間とは知らずに触ってしまい消えてしまうギン。消える直前、ようやく蛍に触ることができた彼は笑顔で消えていく。人間の親に捨てられたから人間を恨むわけではなく、きっと赤ん坊の時に親に捨てられたからこそ、彼は人間のぬくもりを求めたのだろう...この感想を読む
切ない恋のお話でした。
「夏目友人帳」を描かれた緑川ゆきさんが原作の短編アニメ映画。しっとり切ない、人間に触れると消えてしまう少年、ギンと人間の少女、蛍のお話です。あらすじを見てから映画を拝見しました。見る前に思うのは「ああきっと切ないお話なんだろう」。期待を裏切らずやっぱり切ないお話でした。蛍が成長するにつれて、ギンへの想いが変わっていく。ギンもわかりづらいですが、蛍のことを子供としてではなく、一人の女性として見るようになっていましたね。幼いころに蛍が「デートみたいですねえ」と茶化したときにははぐらかしていたギンが、夏祭りのときに、「デートなんですねえ」と返すシーンはとても胸キュンでした。それと、小道具として登場するギンのお面の描写がとてもすきでした。蝶がお面にとまって、そっとギンがお面をはずすシーン。蛍がお面をはずした時にみせる妖艶なギンの微笑み。なかでも切なくなるのが、お面越しにするキスです。触れたら消...この感想を読む
切なくも優しい物語。
夏目友人帳で有名な緑川ゆきさんの短編を映像化した作品です。原作の漫画が大好きだったので、夏目スタッフがこの作品を手掛けると知った時は嬉しかったです。セミの鳴き声や木陰の涼しさ。夏特融のどこか焦燥感を感じる世界を美しく表現しています。このお話は森に棲む妖怪のギンと毎年夏に都会から遊びにくる蛍の心の結びつきを描いたもので、二人がどんどん仲を深め夏は一緒に過ごすのが当たり前になっていくのにほんわかとしました。けれど仲良くなっていけばいくほど、年を重ねていけばいくほど、二人は決して相容れることのない妖怪と人間であることを思い知らされます。ラストのシーンは原作を知っていても号泣しました。皆幸せのハッピーエンドとはいえない作品ですが、とても心に残る素敵な作品です。夏目友人帳が好きな方にはぜひお勧めします!