白蛇伝のあらすじ・作品解説
「白蛇伝」は日本最初のカラー長編アニメ映画。 中国の同名の説話をベースに、青年・許仙(しゅうせん)と白蛇の精・白娘(ばいにゃん)の恋愛劇を描いた作品である。製作は東映動画(現・東映アニメーション)。製作期間2年を経て1958年に劇場公開された。 製作当時は日本にまだ大規模なアニメーションの製作体制が存在しなかったため、スタジオの建設、アニメーターの養成、機材の開発なども含めてゼロから体勢を整えて製作がされた。作画には撮影した人物の動きを参考に動画を描く「ライブアクション」という技術が使われている。 大工原章、森康二、大塚康生などをはじめとする本作の制作スタッフはその後の日本アニメ界を牽引、業界の基盤を担う人材となった。またスタジオジブリの宮崎駿のように、学生時代に本作を観たことがアニメ業界に入る契機となった人物も生み出した。 声の出演に森繁久彌、宮城まり子。第9回ベルリン市民文化賞や第13回文部省芸術祭奨励賞など、国内外で多くの映画賞を受賞。2002年にはDVDが発売された。
白蛇伝の評価
白蛇伝の感想
驚かされるくらい丁寧なアニメ作品
種族を超えた愛情白蛇の主人公の青年に対する愛情は、アニメ本編では中盤過ぎまで伏せられています。そのことから、主人公の青年は、白蛇に騙されており唆される展開を予想していました。しかし、全然違う展開で驚かされました。そして、それが「白蛇伝」というアニメ作品の面白さなのだと思います。白蛇の本音を、意図的に分かりづらくしていることで、物語展開を読めなくさせているのだと思います。単調になりがちな話が膨らませようとする意図を垣間見ることができます。これにより、観る側の主人公の青年に対する感情移入が変わってきます。美人のお姉さんに見初められるなんて甘い展開が、そう易々と転がっているわけはありません。観る側の主人公の青年に対する感情移入は、騙されていけない、という気持ちが強いと思うのです。しかも、白蛇は物語冒頭では、妖怪のような描かれ方をしており、明らかに観る側を騙そうとする意図を感じられるように思い...この感想を読む