自分で幸せにならなくてはいけないということを美しく突きつける
愛する家族を取るか、幸せになるという希望を取るか障害を抱える人とそれを支える人の姿を描き観客の温かい涙を誘う映画は多い、しかしフランス映画界屈指の天才監督と呼び名の高いグザヴィエ・ドランは違う。もちろん本作品にも、ADHD(注意欠陥多動性障害)を抱えるスティーヴとそんな息子を支えるダイアンの愛情は描かれている。しかし、本作品は「愛する家族を取るか、幸せになるという希望を取るか」という究極の二択を観客に鋭く問う。芸術的に美しい映像とは対照的に、本作品に誤魔化しや綺麗事は無い。ダイアンは心から愛する息子を、自分のために自分の人生の希望のために捨てた。なぜなら、スティーヴの障害は彼が成長すればするほど彼女の手に負えるものではなくなるうえに、息子が彼女の人生にいる限りはダイアンは自分の幸福のために生きることができない。ダイアンの望むものは極めてシンプルだ、つまりダイアンが彼女らしく自分の人生を生き...この感想を読む
4.04.0
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