黒い家の感想一覧
貴志 祐介による小説「黒い家」についての感想が4件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
危機感迫るホラー大作
密に書き込まれた設定このストーリーは生命保険会社で働く一介の会社員が生命保険詐欺に巻き込まれていく様がリアルに描かれている。一概に生命保険詐欺といっても色々あって、まったくそういう知識がないのも手伝い、そこまでする?という事件が多々描かれている。恐らく例として挙げられている事件は実際にあったものだと思われる。また詐欺という表現をとったけれども描かれている内容は詐欺というような生易しいものでなく、高度障害保険を得るために指だけでなく腕さえも落とすという常識では考えられない事がリアルに描かれている。何度も読み返す本というわけではないけれど、一度読んだら最後までは本を置くことができないスリルとホラーがつまった作品だと思う。主人公 若槻慎二まったくなんという取り柄もない一介の保険会社のサラリーマンである。後にでてくる加害者の人格などがかなり濃いために、あえて主人公などの個性はあまり目立たないよ...この感想を読む
化物になる主婦
京都、生命保険会社の世界に入り込める私は、京都には観光で1度しか行ったことがありませんが、文章表現がうまく、街の雰囲気や人柄がにじみでおり、京都にいるような気分になり、旅行に行きたくなりました。また、主人公の努めている生命保険会社の世界のことも知ることができちょっとした勉強にもなりました。著者は、実際に過去に生命保険会社に勤めていたということも現実味が感じられた要因だと思います。保険金のようなお金が絡んでくる現場では、事件がたまに起きますけど、こんな度を超えた客も中にはいるのかもな・・・考えさせられました。純粋な主人公の行動にハラハラさせられる主人公が、少年の自殺を黒い家で発見して、これは殺人だと思った後は、事件の真相を知りたいがために、行動を起こします。菰田重徳の過去を追って、小学校を訪れたり、文集を心理学者の先生に見てもらったりと、真面目だからなのか好奇心が強いからなのかどんどん首...この感想を読む
暗闇に突き落とされる
これは怖かった~。そりゃあホラー大賞とるよっていう、ホラーの中でも逸脱した作品だと思います。ホラー好きは読んでほしい、いや読まなければならないと思いますね。 とにかく、前半はどよ~んとした淀んだ空気の中、ひたすら淡々と物語が進んでいきます。 ここではその淀みに耐える忍耐が必要ですね。 怖さよりも気持ちの悪さがつきまとって、少しずつ少しずつ自分がそれに侵食される気がします。 いや、本当です。 そして、後半はいきなりどか~んと急速に物語が展開します。 恐怖に引きずり込まれる感じです。 うかうかしてると、自分も包丁で指を切られかねません。くれぐれも気を付けてください。 人間て、自分の欲のためならあんなに残忍になれるんですか?もはや人間じゃなく化け物ですよねっていうくらい怖いです。 家の中とか入っちゃだめだからマジで。 そこは逃げなきゃ! でも、勝てないんですよね。好奇心には・・・。本当に怖か...この感想を読む
日本ホラーで最も怖い小説
大好きな作家、貴志祐介さんの代表作。これをより怖い作品はなかなかみつかりません。何が怖いかって、やっぱり「身近にある恐怖」だからです。保険会社の社員と、保険金を欲しいがために子供や夫にまでを手にかける女。人はお金のためにここまでやる。完全な人間性の欠落が強烈なキャラを形作っています。自分や身の回りの人間に近づき攻撃してくるクライマックスの部分は本当にドキドキです。またほんとに死にぞこないで、これがしつこい笑ちなみに映画版では、大竹しのぶの巨乳が拝めますが、描写はそれほどうまくなく、原作の怖さには負けます。韓国版もありますが、こちらはキャスティングもなかなかよく、かなり怖い仕上がりになっているので、邦画で失望した方はこちらをみてみるといいかもしれません。