下弦の月の感想一覧
漫画「下弦の月」についての感想が4件掲載中です。実際に漫画を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
そーきたか!と巧みに裏切るミステリー
構成が抜群おもしろいです。はじめに女子高生・美月が理由はわからんが家族とも彼氏ともうまくいかず、家出してアダムというミュージシャンのところへ。彼は彼女の大好きな曲を歌い、安らぎをくれる人。しかし彼は素性がわからず、本当のところで分かり合えているとは感じられない人。だけど彼を追いかけたいの。そして彼女は事故に遭い…うん、死んじゃったんだね。そして幽霊になって…と思ったら、今度はまさかの小学生の女の子の目線へシフト。おいおいここからどんなふうにつなげるんだろう…?って思ってたら、同時期にルルと名付けた猫を追いかけて事故に遭った小学生・蛍が、いなくなってしまったルルをまた探し始めたところ、美月とアダムが時間を過ごした館へとたどり着き、記憶をなくした美月の霊と出会う…ここまでくると全然見方が変わってきますよね。なるほど、蛍たち仲良し小学生4人組で美月を成仏させるっていう話…?しかしここからさらに...この感想を読む
大人が読んでも奥深い漫画
愛私は矢沢あい先生の作品が大好きでした。私が初めて矢沢あい先生の作品を見たのはご近所物語という作品でその後、天使なんかじゃないという作品を読みました。そしてその後に読んだのがこの下弦の月という作品でした。最初この物語を読んで一発目の感想としては、よく分からないが率直な感想でした。当時の私はまだ学生だったので、りぼんという漫画イコール恋愛漫画という図式ができあがっていて、この切ない恋愛物語を恋愛と位置づけるにはまだまだ理解が足りなかったのだなと今になって思います。この物語に登場するアダムという青年がいます。自分が好きな女性が亡くなっていても、自分がもうこの世にはいなくなっても、その生まれ変わりである美月という女性をも愛しているそんな青年でした。彼のその直向きすぎて、理解に苦しむ場面が多々ありました。けれど、私はこの物語を読んで、最後のアダムの語りに非常に感動したのです。アダムが好きなさや...この感想を読む
幻想的な矢沢ワールドに引き込まれて
幻想的に描かれたホラー矢沢あいの作品の中では異色の作品ですね。いや、漫画としても異色ですよね。こちらの作品あたりから作風が大人向けにシフトチェンジされてきたように思います。キュンキュンするような甘いラブストーリーではなく、胸にジーンと染みてくるようなラブストーリーが美しくもあり儚くもあり・・・。さらにホラーとミステリー要素が織り交ざり、見事に少女漫画の概念を覆す矢沢ワールド全開で、もう彼女以外の作品が読めるかどうか分かりません。1コマが映像のように矢沢あいさんの画力はやっぱり繊細で素敵です。さらにポイントとなるシーンは映像が流れるかのように入ってくるから不思議です。最初と最後の交差点のシーンなんて台詞がなくても画だけで登場人物の感情が入ってきます。柵のシーンは逆にとてもシンプルで、より異空間というか無機質さがでていて好きでした。練り込まれているストーリーなんといっても下弦の月の魅力は、画...この感想を読む
アダムは最強にかっこよく蛍が最高に可愛い
矢沢さんの作品はどれも好きで、恋愛のお話だと軽い気持ちで読みました。ハッピーエンドなのか判断しづらく話も暗いため簡単な恋愛物として読める作品ではありません。あらすじは高校生のイブがアダムという歌手に出会い恋に落ちますがあるときを境にアダムがイブの前から消えて代わりに蛍という子供に出会います。蛍にはイブが見えますが蛍の友達には見えません。蛍がおかしいのかイブはこの世に存在しないのか・・・アダムの行方を蛍たちは捜し始め結末にたどり着く。アダムとイブはまた会えたのか、それともアダムは初めから存在しないのか・・・全体的に何とも不思議な話ですが、根底にあるのは恋人と離れたくないという強い愛(執着)です。生と死の狭間の話なので切なく苦しくなりますが、謎解きをしていくのが子供たちで凄く可愛いので話の割りにすらすらと読める漫画です。また3巻と話も短いのでもう少し読みたかったなと感じる部分もありますが、ず...この感想を読む