「悪い人がいるわけではない」という認識、「許しあう」ことへの感謝
過ちを犯さない人はいないこの物語、少女誌掲載なので当然恋愛が基軸ではあるが、今読み返すととても深い人間ドラマだ。私は連載当時10代後半から20代前半だった。中盤までは少女誌にありがちな活発な少女と有名芸能人の恋愛が主流だ。しかしこの時点でも後半に描かれるテーマはしっかりと刻まれている。どんな人も懸命に生きる中でわずかな過ち、わずかなミスを犯す。それは許されて消えていくときもあるけれど、些細な行き違いやそれぞれのこだわりなどから取り返しのつかないような溝を生んでいく。アニス、ジェイク、ロイ、それぞれの両親たち、主要キャラの全てが過去にいくつかの失敗を抱えている。前半は明るいラブコメ調でもあるが、実はこの時点ではどのキャラも「許された」、という実感は薄く、むしろ「過ちを犯した」という意識から人に優しくしたい、という方向で描かれている。アニスは弟と一見普通に接しながらも彼の障害の原因が自分に...この感想を読む
5.05.0
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