忘れてはならない戦い
第二次世界大戦の太平洋戦線、日本の敗北が濃厚になるにつれ各地で玉砕や特攻など壮絶かつ悲惨な出来事が続いていた。アッツ島やガダルカナル島などのはるか遠くの島々から、内地である硫黄島、そして沖縄に至るまで激戦の末、多数の死傷者が出ることとなった。 しかし本作のテーマは「死」ではない。むしろ誇りを保ちつつも無事帰還する「生」を描いた作品である。 もっとも戦争実録映画である以上は犠牲者が出ないはずはないのだが、数十名の兵が1年近くもサイパン島という限られたエリアでゲリラ戦を維持できたこと自体が驚きである。先述したとおり、追い詰められて玉砕した例も数知れぬ日本兵としては異例の存在だろう。 最後は武装解除のタイミングがつかめない状態ではあったが、軍人らしく日本からの命令によって投降するところでこの物語は終幕となる。それは同時に日本軍部隊の最後の降伏でもあり、第二次世界大戦が名実ともに終結した瞬間でもあった。
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