観賞する年齢によって感じ方が違うんです、すごく - ふぞろいの林檎たちIIの感想

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ふぞろいの林檎たちII

3.503.50
映像
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脚本
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キャスト
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音楽
4.50
演出
4.00
感想数
1
観た人
1

観賞する年齢によって感じ方が違うんです、すごく

3.53.5
映像
3.5
脚本
4.5
キャスト
4.0
音楽
4.5
演出
4.0

目次

サザンの音楽がぴったり

このドラマ「ふぞろいの林檎たち」シリーズは、全編サザンオールスターズの楽曲が主題歌、BGMとして使われています。もう、その音楽が映像にぴったり。特に柳沢慎吾が後輩の佐竹に追い駆けられる時にかかる「いなせなロコモーション」がいいんです。軽快なピアノに合わせて柳沢慎吾が悲壮感を漂わせ逃げまくる感じが懐かしく思い出されます。そして、ドラマの最後に流れる「いとしのエリー」の「エーリィ~ィ~」で、今回も終わってしまったなーと思ったものでした。

あー、なんか大人って大変そうと思って、このドラマをずーっと見続けていました。再放送で見返して自分が彼らより年上になった時に、あの時はまだ大人じゃなかったんだな、大人になろうと努力をしながら迷っていたんだなあと感じて、今更ながら彼らをいとおしく感じるのです。

きっと、それは自分の恋や仕事を投影しているから。23歳から24歳くらい。青春時代とはまた少し違った感受性を持って、物事を見始めた時期なんじゃないでしょうか。少し悟って、少し諦める…でも完全に夢や生き方を決めたくはない…うん、私はそんな感じだったかな?その頃の自分を思い起こす時の私の頭の中のBGMはやっぱりサザンオールスターズです。ドラマでは使われていないけれど「海」にしておこう。で、脳内の自分は2割増しで美化しておこう。ふふふ。

セクハラ、パワハラ、モラハラ

このドラマの中で一番嫌いだったのは、室田日出男演じる相馬課長。仲手川(中井貴一)の上司です。むホントにチャンネル変えたくなるくらい大っ嫌いでした。きっと、演技が上手だったのね。このドラマが作られた当時は「パワハラ」って言葉がなかったんだけれども、これをパワハラと言わずに何という!いつもいじめられる中井貴一がかわいそうでした。しかも清潔感がなさそうなんだもん。生理的にも無理でした。顔を近づけて喋ってくるのもすごくいやだったわ。自分が社会人として会社に入る時に、「相馬課長のような人がいませんように」って祈ったくらいですもん。結局はいましたよ、そういう上司。その頃は上司が威張って当たり前の時代ですからね。多かれ少なかれ、そういったタイプの人、会社にはいたのかもしれません。今はきっと、小さくなってるね、多分。

で、この相馬課長は中井貴一の恋人、晴江の勤めている店(今でいう高級クラブみたいなところ)で下ネタを言い放ち、胸やお尻を触る…そういうお店じゃないのに。これは完全なる「セクハラ」でしょ?最悪!

その後、「あの女はお前に合わない」だとか「プロなんだからお尻さわったくらいでギャーギャーいうのは甘えてる」って説教するんです。はい、「モラハラ」ですよね。こんなふうに昔の上司って部下のプライベートにまでガンガン口を出していたのですよ。信じられないでしょ。今なら査問委員会とかに賭けられて懲罰されるわ。私は今は専業主婦だけど、こんな人、会社にいてはいけないですよね。

私にとって、相馬課長が初めて出会った嫌いな上司でした。思い出しても気持ち悪いし、晴江と和解した時は「茶番かよ」(ドラマだよ)と頭に来ました。不幸になってしまえば良かったのに。室田日出男さん、そこまで私をうならせた名演技でしたよ。怖かったー。

老いらくの恋

老いらくっていつからなんだ?何歳からなんだろう?

私がこのドラマで「老いらくの恋」について語りたいのは、ラーメン屋の柳沢慎吾のお母さんの吉行和子と、その店に雇われにきた小林稔侍なんです。だいたいあの二人は、このドラマ内で何歳の設定なのかな。ふたりの思いは視聴者にはわからないところで始まって、私たちにはただ柳沢慎吾がとにかくヤキモキしてイライラしていることだけが伝えられます。中島唱子は「出来てる」って言ってたけれど、私はプラトニックだったと思います。小林稔侍が出ていったときまでは。いい年して(あ、柳沢慎吾の方がね)まだ、お母ちゃんが恋しいのかよ、ちっちゃいオトコだなー、どうにもなりゃしないよ、所詮ジジイとババアなんだから、気持ち悪い…と思ってました、当時の私は。んー、男の子っていつまでもそんなものかしら。でも、大人になって見返してこのエピソードが一番ジーンときてしまったのです。

一度は出ていった小林稔侍が、再び戻ってきた時、ラーメン屋のカウンターの下にうずくまって、うれし涙を白い前掛けで(エプロンじゃないのよ)拭う吉行和子。もうそれは少女でした。処女でした。私はそこに感動し、涙を流したのです。初めて見たときは全く響かなかったのに。

小林稔侍が火事で家族を失くした話を、息子に語る吉行和子の不幸に同情し、老いらくの恋の成就に心を持っていかれました。でも旦那様を亡くしてからちょっと早すぎたけどね、お母ちゃん。そして、次のシリーズの時にはこの二人…ま、この辺でやめておきましょう。言わぬが花ですもん。

ドラマの大筋に関係ない話ばかりで失礼しました。

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