Anotherはところどころの伏線がスゴイ
実は父からの電話の中には名前がない
主人公の父親から電話がかかってくる場面で電話のノイズに気を取られがちだが、父親が重要な発言をしている。その台詞は、「おじいちゃん、おばあちゃんにヨロシクな」というもの。本来なら自分の子どもの先生をしてくれる予定の叔母にも一言何かあっても良いはず。あんまり面倒かけるなよとか、宜しく伝えてくれとか。それがない時点で可笑しいのだが、インドにいるという突拍子もない設定により自由奔放な父親像をイメージしてしまうため、言葉のやり取りを不思議に感じることもなく上手いこと伏線となっている。父親は遠く離れているところにいるため、呪いの影響を受けていないのではないかと推測されるのだが、電話にノイズが入るため上手いこと核心から遠ざけるような工夫がされている。
レイちゃんと鳴く鳥
初回から出てくる鳥のレーちゃん、九官鳥なので人真似が上手な鳥。レーちゃんは度々「元気だして?」というような台詞や「どうして?レーちゃん、どうして?」といったような言葉を口にしている。普通なら生きている人間と同じ名前をペットにつけることはないから、その奇妙な伏線に気づくだろう。ただ、実際はレイコではなくレーちゃんという愛称で鳥が鳴いているため、全然その違和感に気づくことができない。そういった伏線が初回からどんどんさり気なく組み込まれているので、本当に関心するしよくアニメ構成が出来ている。レイコが亡くなったときから飼われている1年半前からペットになった九官鳥は、故人を想って嘆いていたおじいちゃんとおばあちゃんの言葉を覚えていて、鳴いていたんだろうと思うと悲しすぎる話である。
一体誰が怖いのか
このアニメは、ホラーミステリーという位置づけなのだろう。話の最初でミサキといういかにも怪しい人物を作ることで、「その人が死者なのでは?」と始めからハラハラする物語の展開に目が離せなくなる。クラスメートの誰が死者が分からず、疑心暗鬼になっていくさまは人の醜さを良く表現できている。冒頭に不気味な人形の演出や画の雰囲気があり少し飽きるかもと思い気や、ラストにかけての話の盛り込み具合と壊れ具合がスゴイ。ただし、映像の質がよくない点やキャラクターの個性が弱い点がとても惜しい。ミサキのキャラを濃くさせるのであれば、主人公にか弱いだけではない何か別の個性を持たせた方が物語に入りこむができたのではないだろうか。主人公の設定が弱すぎるので、ミステリアスな作品に合わないように感じるためキャラクターの評価は星2.5が妥当かなと思う。
ストーリー展開が読めない
次から次へと怪しいかもしれないと思ったクラスメート達が亡くなっていくので、もう誰が死者なのかストーリー展開が全く読めない。最初は気味が悪いと思っていたミサキも、後半につれて可愛いと思えてくるのがとっても不思議。顔がお人形のように整っていることに加えて、怖い描写や病院などで視聴者に死を連想させることで、初めは不気味に感じるようにさせている点もホラーアニメとしてはとっても評価できる。主人公の心の変化も、周りの人物を対比に出すことでとっても良く表現できている。ただアニメの画を萌えよりにさせてしまったのが少し残念。もう少し可愛い系ではなく綺麗な画で描いてくれたら、もっと魅力ある作品になったのではないだろうか。アニメのグッズ化としての人気を考えてのことなのかも知れないが、逆にホラーミステリーという要素を少し薄めてしまっているのではないかと思う。そのため、映像に対しては星3くらいの評価が妥当かなという印象。
まさかの結末に驚き
呪いがない学年に思われていたクラスだったが、実は呪いのある年だという展開。しかも実は先生が増えていたのであって、クラスメイトの人数はピッタリだったという考えもつかないまさかのオチ。主人公の身内であり、クラスメートでもないということもあって、ノーマークになりがちなキャラがまさかの紛れた死者。原作が別にあるとはいえ、細かい演出が本当にとても良くできている。あっと驚くような結末から、細かい伏線を探しに再度アニメを見直したくなるような物語。アニメを再度確認してみると、確かに伏線とも思える描写が多々ある。主人公の家族についてはあまり触れないことや玲子叔母さんの会話を遮るようなおじいちゃんおばあちゃんの会話など。死者が途中から紛れ込んだという先入観を上手く利用していて、身内が死者という可能性をノーマークにさせるミステリーホラーとしては十分見ごたえのある作品。結末として叔母が死者だった点を踏まえると、主人公が転校してきたことで1人増え死者が紛れ込んだのではなく、初めから死者がいた呪いの年だったということがわかる。初めからバットエンドだと念頭において見直すと、玲子叔母さんが頭痛が多いと発言していたなぞの理由も死者だったからだとわかれば頷ける。九官鳥を苦手だと発言していたのも、それが自分が死者だという何よりもの証だったからである。
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