演技と演出の分析・個人解釈 - orange-オレンジ-の感想

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orange-オレンジ-

4.504.50
映像
4.25
脚本
4.00
キャスト
4.50
音楽
4.00
演出
4.00
感想数
2
観た人
2

演技と演出の分析・個人解釈

5.05.0
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

翔が、転校してきた日。

菜穂、翔、須和、貴子、萩田、あずは、6人で一緒に帰る。そのときの、6人の距離感に、個性をより感じた。

菜穂は、ほんの少しみんなの斜め後ろを歩いている。

翔は、真ん中の方。

須和は、他のみんなのことを見渡せる位置。

貴子は、ちょうどいい所。

萩田は、本読んでる時は下がってて、みんなに話しかける時、前に出てくる。

あずは、一番前の方。

球技大会の日。

菜穂、貴子、あずで歩いてるシーン。

あずは、先頭。

貴子は、真ん中。

菜穂は、貴子のほんの少し斜め後ろ。

翔が、朝礼台の上に座っているシーン。

菜穂が、翔の隣に座る。翔の隣に座る時の位置の選択肢は3つある。翔のぴったり隣に座るか、人一人分のスペースを空けて座るか、スペースを多めに空けて座るかである。

菜穂は、スペースを多めに空けて座った。菜穂の性格が、よく表れている。

菜穂が代打を頼まれ、打つシーン。

1回目は、空振り。

2回目は、みごとに打った。

このシーンは、2回目も空振りにして3回目打つというパターンかと思いきや、2回目に打てて、こんな風に演出するんだなと思った。シーンの役割は、観客に 打てるか打てないかにドキドキさせることではないから、2回目で打つのだなと解釈した。

2回目、打てた後、ファーストに走り、みんなは点数が入ったことに喜んでいるシーン。

菜穂は、すぐにはみんなの所に戻らないで、あずに「なほ〜!!」と呼ばれてから、みんなの所に戻った。点数が入った後に、イエーイとみんなの所にすぐに走っていくという選択肢があるが、菜穂は違う。

10年後の菜穂、須和、貴子、萩田、あずの再会のシーン。

あずの手の振り方が、あずだった。

萩田の手の振り方が、萩田だった。

翔が菜穂からお弁当を受け取るシーン。

ものを受け取るとき、相手の手が当たるように受け取る人と、当たらないように受け取る人がいる。

翔は、菜穂の手があんまり当たらないように受け取っていた。

翔が上田先輩から告白された後のシーン。

窓から見てた5人に向けて、大きく「まる」をした。

早いスピードで「まる」をするか、ゆっくりのスピードで「まる」をするかがある。

翔は、ゆっくり「まる」をした。翔は、あまりガツガツしていなく、控えめなのが表れている。

翔が上田先輩と付き合い始めた日の菜穂の様子。

家に帰って、翔からもらったオレンジジュースを飲む。

いつもの菜穂だったら、ゆっくりオレンジジュースにストローをさしていると思うが、このときは、ストローを速くさしていた。菜穂の心の様子が示されている。

翔が菜穂に「上田先輩と別れようかと思って」と話すシーン。

翔「先輩より気になる人いるから」

菜穂「それって好きな人?」

翔「内緒」菜穂に顔を近づけて言う。

それで、走る。

菜穂「あ、逃げた」

翔は振り返って大きく手を振る。

この①「内緒」顔を近づけながら言う。②走る。③菜穂の方を振り返って大きく嬉しそうに手を振る。この順番のこの動作が、見ている側を、「きゅん」とさせる。

お祭りの日、翔と菜穂の待ち合わせのシーン。

歩きだしてから、翔が菜穂に「かわいい」と、自分の頭 指さしながら言う。

歩きだしてから言うと、ちょっと言うのが恥ずかしいのかなと思える。

「かわいい」と口にするタイミングと、声の大きさが絶妙。

10年後、5人で翔の祖母を訪ね、翔に誕生日プレゼントを渡すシーン。

須和が、翔に花束を。その花束を菜穂に渡す。

菜穂は、受け取り、花束を柔らかく抱きしめる。

この花束を柔らかく抱きしめるという動作から、菜穂の気持ちが伝わってくる。

感想

行動や動作を分析してみると、人によって全然 違うんだなあと思いました。

演じているときに、菜穂は菜穂らしい行動・動作を考えなくてはならないし、カメラにはどんな風に映っているのかも考えなくてはならない。1つ1つのシーンの目的も、把握しなくてはならない。そして何より心で感じなければならない。

難しいなあ。

自分と同じくらいの世代の子たちの演技を見て、ほんとにすごいなあと思いました。

特に、一番初めにも取り上げた 翔が転校してきた日に6人で帰るシーン。

菜穂、翔、須和、貴子、萩田、あず 1人1人の個性が、観ている側は はっきり分かる。なおかつ、観ていて微笑ましいシーン。

少女漫画の映画化で、この作品を観る前は、どちらかというと 中高生が好きなキュンキュン要素が強いのかな?と思っていましたが、母が観ながら隣で涙を流していて、この物語の核にあるものは、きっと大切なものなんだなあと考えました。

土屋太鳳さんが、インスタグラムで、「役を生きる」という表現を使っていました。

土屋太鳳さんの演技は、心に響きます。

物語の、菜穂、翔、須和、貴子、萩田、あずの関係は、羨ましいです。

これは深読みし過ぎですが、きっと1人1人自分があって、そのうえで友達と関わっているからこそ こんなに仲がいいのかなと解釈しました。自分がある、柔軟な心もある。

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4.04.0
  • ピッコリーノピッコリーノ
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