山下智久さんのファンにはいいかも
タレント頼りの企画は、もう、時流ではないですよ…
「プロポーズ大作戦 」を視聴した感想です。
率直に言って、「ワクワク感が足りない」という感じがしました。
この作品は、主人公の岩瀬健が、恋する幼なじみの吉田礼と結ばれる為に、タイムスリップして、過去をやり直すというストーリーです。
毎回、毎回過去の色々な場面にタイムスリップするのですが、はっきり言ってしまえば、「全11話もあって、序盤で物事が解決するわけがない」と最初から視聴者には分かってしまっているわけです。
最初は失敗するだろう、とは何となく予想がつきますよね。
ですので、「序盤から見なかったり、所々見逃してしまっても、終盤さえ観ていれば結末は分かるだろう」と視聴者は考えてしまいます。
この作品は、そうしたコンセプトそのものが弱く、視聴したいと思わせる力が物足りない感じがしました。
幼なじみと結ばれる為に、過去に戻ってやり直す、というストーリーも、地味な感じを受けます。
このあらすじを聞いて、第一話を観てくれる視聴者がどれだけいるのかは疑問です。
よっぽど、主演の山下智久さんや、長澤まさみさんに興味がなければ厳しいのではないのでしょうか。
この作品だけではなく、フジテレビのドラマ枠は、このように「あらすじを聞いただけでガッカリする」ような、企画の弱いドラマが散見されます。
今はタレント頼りの企画では、視聴者は納得できない時代になっていると思います。
逆に「あらすじを聞いただけでワクワクさせられる」作品が求められています。
「孤独のグルメ」のような、ただ中年男性が飯を食らう作品や、「勇者ヨシヒコ」のような、低予算を敢えて前面に出した作品が、人気の出る時代なのです。
タイムスリップを、もっと生かした脚本の方が良かったと思う!
内容も、一時間見ているのが辛い…という感じがしました。ちょっと長く感じました。
一話一話で、あまりドラマとして、面白い事が起こっていない印象です。
かといって、セリフなどで笑わせてくれるコメディシーンもなく、淡々と過去の学生時代等を見せられているように感じました。
「この先どうなるんだろう?」と、冒頭から視聴者を釘付けにするような、ワクワク感がありませんでした。
何か謎を見せて終盤まで惹き付けるとか、そうしたストーリー上の工夫が欲しかったです。
また、タイムスリップしているのに、過去の事が分かる描写が乏しかったのも残念でした。
同じくタイムスリップをテーマにしたドラマ、「トドメの接吻」では、過去のやり直しを描写するために、前回転んだところで今回は転ばない、というようなシーンを沢山入れていました。
もっと小ネタ的に「過去が分かるからこうなった」という様子をいれた方が、個性が出たのではないでしょうか。
豪華俳優陣。なのに、何だろうこのパッとしない感じは…
また、一番気になったのが、出てくるキャラクター達の無個性さです。
主人公の健を始め、健の友人達など、魅力に乏しい感じがしました。
「健の友達」で一括りにできる感じです。
確かに一人一人の性格は違うのですが、結局全員話し方も考え方も一緒ですよね。
あくまで、モブキャラクターの域を越えてこないという感じがしました。
全員今では、ドラマの主演をやるような役者さんですよね。
すごくいい役者さんを揃えているのに、これでは勿体ない感じました。
まだ脇役はそれでもいいと思います。
ただ、主役の健と礼はそれだと物足りない感じがします。
主役の二人のキャラクターが、あまり個性がなかったように思います。
そして、どのような所が魅力なのかが分からなかったです。
特に主人公の健は、あまり応援したくなるキャラクターではなかったです。
客観的に見て、恋敵の多田先生の方が、健より全てにおいて勝っているからです。
「礼は健より多田さんと結婚した方がいいでしょ」と観ていて思ってしまいました。
多田さんは真っ直ぐで誠実で、優しく礼の友達にも気遣いができます。仕事の面では、建築家として成功を収めています。
対して健は、礼の誕生日を一度もきちんと祝った事のないような男で、だらしがなくていつも金欠です。
ずっと礼に告白することから逃げていた癖に、いざ礼が結婚するとなって、やっと焦るような人間です。
正直、過去を変えるまでは礼は本当に幸せそうにしていたので、健には「お前の都合で過去を変えるなよ」としか思えませんでした。
また、健はちょっとダウナー系というか、脱力しているようにいつも見えるのですが、キャラクターはこれでいいのか?と思ってしまいました。
目に光が無いというか、全体的にダラっとした印象ですよね。
正直もっと男の子らしい感じのキャラクターの方が、良かったのではないかと思いました。
このままだと、このキャラクターに感情移入できない気がします。
濱田岳さんが演じた、鶴見のようなキャラクターの方が、一生懸命さが視聴者にも伝わるし、かわいげもあって好感が持てます。
コメディ要素もあるし、鶴見が主人公の方が良かったのではないかと思ってしまいました。
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