仏のうっかりが初回から炸裂 - 勇者ヨシヒコと悪霊の鍵の感想

理解が深まるドラマレビューサイト

ドラマレビュー数 1,147件

勇者ヨシヒコと悪霊の鍵

4.354.35
映像
4.13
脚本
5.00
キャスト
5.00
音楽
4.50
演出
4.50
感想数
4
観た人
7

仏のうっかりが初回から炸裂

4.04.0
映像
4.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
4.0
演出
4.0

目次

予算の少ない冒険活劇、再び…

「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」を視聴した感想です。
この作品は、2011年に第一シリーズが放送され、好評を博した「勇者ヨシヒコ」シリーズの第二作目です。
初めて勇者ヨシヒコを観たときの衝撃は忘れることができません。

深夜のドラマ枠で、まずドラゴンクエスト風の冒険活劇をやろうという企画を、よく思いついたなと思います。
ありそうで無かった題材ですよね。ドラマが始まった時、「新しい物が始まった」ワクワク感がすごくありました。

勇者ヨシヒコは真面目な物語ではなく、ドラゴンクエスト風を装ったコメディです。
「壺や樽は壊してもいいルール」に乗っ取り、ヨシヒコが真面目に破壊していったり、井戸の中に親切な魔物がいたりと、ドラゴンクエスト本家のオマージュ的な笑いの数々が登場します。
その笑いの持っていき方も引き出しが多く、「よく考えているな」と、非常に気合いが入っていると思いました。

また、勇者ヨシヒコを始めとした、冒険の仲間たちも面白いです。
まず勇者の名前が「ヨシヒコ」という所からして、情けなくて笑ってしまいます。
伝説の剣をあっさり引き抜いて、あっさり勇者になってしまったヨシヒコ…。
ヨシヒコはとても真面目で曲がった事が嫌いな熱血漢ですが、みんなとちょっと違うテンションの子です。
道中で出会った村娘のムラサキは、常にヨシヒコの寝首をかこうと狙ってきますし、魔法使いのメレブは変な魔法しか覚えません。
剣士のダンジョーはオッサン臭すぎます。
そして、いつもふざけている仏…。
このメインのキャストのやり取りだけでも、かなり面白いと思います。

また、予算の少なさを開き直っていくスタイルも笑いを誘います。
宣伝ポスターの迫力が嘘のような、衝撃的なチープさの数々は、とても地上波で放映されているドラマとは思えません。
段ボールで作られたと思われる魔物、襲いかかるコアラの人形、どう見ても映画村で撮っているとしか思えないロケーション…。
オープニングに「予算の少ない冒険活劇」という一言が登場するほどに、作中の至るところに予算の無さが表れています。

スケールアップしないという選択

こうした数々のコメディ要素を擁し、前作の「勇者ヨシヒコと魔王の城」は、第一話から最終話まで、ついに一度も真面目な展開になることはなく、怒濤のくだらなさで幕を閉じました。

そして今作の「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」も、スケールアップすることなく、やはり第一話から最終回まで、いつもの笑いのペースを貫き通しました。

この「第二シリーズに入ってもスケールアップしない」というのが大事ですよね。
よく、こうした作品の続編が出ると、新キャラクターが登場したり、欲張ってシリアスな話を入れ込んできたりという、製作陣の迷いが見られると思います。
そして、結果的に前作のファンの期待を裏切ってしまいがちです。
今回勇者ヨシヒコでは、全くそのような迷走は見られなかったので、良かったと思います。
やっぱり第一シリーズと同じような完成度の物を期待しているので、それを裏切られなかったのは良かったと思います。

多分第一シリーズよりスケールアップしているのは、メレブのカツラがちょっといいカツラになった事くらいだと思います。

メレブさん、私にもその呪文をかけてください!!

やっぱり第一シリーズでもそうでしたが、キャストの面々が本当に演技力が高いと思います。
特に主演の山田孝之さんはさすがの一言です。
不良を数々やってきた人とは思えないほど、ヨシヒコの生真面目さが、歩き方や姿勢にまで表れています。また、発声もちょっと舞台っぽいというか、いい声を意識しているのだと思います。
そしてその真面目な顔で、堂々とバカなセリフを吐くので笑ってしまいます。

また、メレブ役のムロツヨシさんも面白いです。
結構ムロさんのアドリブ的な演技が多いのかなと思っていて、何ならもうメレブ=ムロさんみたいな感じにも捉えていたのですが、やっぱり他の作品と比べてみると、メレブにも役作りはあるんだなと思います。
ちょっと高貴で、ゆっくりとした喋り方にしているんですよね。
やっぱり最初は、村でお偉方をやっていたからなんでしょうか。
表情もトロンとしていて、姿勢も杖にもたれがちと、メレブのやる気のない感じが伝わってきます。
色々工夫して演じているんだなと思いました。

木南晴夏さんは、シリーズを通して変顔がすごく多いのですが、今回も初回から、白目やしゃくれ顔をやっていました。
しゃくれながら話すのがすごく上手でした。
元々がきれいな女優さんなのですが、潔さを感じました。
木南さんはおとなしい役も他のドラマでやっているのですが、跳ねっ返りなムラサキを見ていると、とても同じ人物には見えません。

宅間伸さんは、今回は女装もあったりと、さらにコメディ要素が増したと思います。
ダンジョーは多分、トリオ芸に例えると、ヨシヒコが大ボケでダンジョーが中ボケなんですよね。
その難しい立ち位置を、面白く演じていたと思います。
しかし、ふとした立ち居振舞いやセリフ回しが格好良いとも思いました。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

他のレビュアーの感想・評価

勇者ヨシヒコの面白さ

とにかく面白い!この作品を見て、笑わなかった人はいないだろう。なんといっても、個性的なキャラクターたち。私が個人的に好きなのは、メレブである。独特の口調といい、魔法のポンコツさといい、憎たらしさを兼ね備えた、個性の塊のようなキャラクターとなっている。そのほかのキャラクターたちも、個性豊かで、それぞれの個性の掛け合いが、面白さを生み出している。メインキャラクターの4人以外にも、個性が豊かで、少し変わったキャラクターが多い。仏。仏は、このドラマに大きな笑いを生み出す一因である。佐藤二朗さん演じる仏により、ストーリーが少しずつ進んだり進まなかったり…と、ストーリーに重要なキャラクターでもある。出てくるたびに、ヨシヒコたちとの面白い掛け合いが起きる。佐藤二朗の元々のキャラクターが生かされているようにも思える。また、ヨシヒコが、仏を目視するには、日食グラスを使わなければ見えない点は、シュールである...この感想を読む

4.94.9
  • まるままるま
  • 106view
  • 2003文字
PICKUP

俳優陣の自由な演技が光るドラマ

中毒性のある独特な世界観「勇者ヨシヒコ」のドラマシリーズはドラクエのパロディドラマです。今までにない、独特な世界観があります。ドラクエの有名なモンスターが冒頭から出てきたり、戦いのシーンがゲームと似ていたりします。ドラクエのパロディですが、ゲームを知らない私でも十分に楽しめるドラマです。パーティが全滅してしまうと全員が棺桶になって教会にテレポートするシーンや、調べ物をするときに建物の中にある壺を割ったりするシーンは本当におもしろいです。このドラマは低予算の冒険劇と謳っているように、小道具などは手作り感満載です。しかし、それがとてもいい味を出していてドラマの魅力の一つになっています。紙でできたモンスターたちが可愛らしく思えます。主人公が仲間を集めて悪者を退治するために冒険をするというシンプルな内容のドラマですが、毎回毎回声を出して笑えるほどの面白さです。冒険で訪れる村ごとに様々な特徴があ...この感想を読む

5.05.0
  • ロムロム
  • 109view
  • 2002文字

ほんとすき!でも中身ない!

今までにない作品でゆるすぎるなんだこれは!!!私が最初に思ったことである。こんなゆるいドラマがあったか。こんなテキトーなドラマがあったか。私は驚きとともに笑いを抑えることはできなかった。とにかく手作り感満載なのに、とてつもなくてがこんでるのがこの作品の魅力であると思う。だって、出てくるモンスターダンボールとかで作られてるけど、手抜き感半端ねぇ!と思うけど、めっちゃすげーよ!あんなの小学生が必死こいて作っても作れないよ!原作に愛がある素晴らしい大人じゃないとあんな番組として成立するクオリティは作り出せないと思う。中身ないけど。ストーリーは皆無と言っていいほどだけれども、製作者側の愛をひしひしと感じる作品。大げさすぎるクオリティのオープニングとオープニングだけエグいくらいにカッコイイ。なんでここだけこんなに手がかかってるのか、らこれからなにが起こるんだ!?的な感じでめっちゃくちゃワクワクす...この感想を読む

3.53.5
  • なかゆなかゆ
  • 64view
  • 1017文字

感想をもっと見る(4件)

関連するタグ

勇者ヨシヒコと悪霊の鍵を観た人はこんなドラマも観ています

勇者ヨシヒコと悪霊の鍵が好きな人におすすめのドラマ

ページの先頭へ