深層心理の微妙なニュアンスを捉えた会話のドラマであると同時に、行間のドラマでもあるエリック・ロメール監督一流のウイットの効いた面白さで見せる 「モード家の一夜」 - モード家の一夜の感想

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モード家の一夜

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映像
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脚本
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キャスト
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音楽
4.00
演出
4.50
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深層心理の微妙なニュアンスを捉えた会話のドラマであると同時に、行間のドラマでもあるエリック・ロメール監督一流のウイットの効いた面白さで見せる 「モード家の一夜」

4.04.0
映像
4.0
脚本
4.5
キャスト
4.0
音楽
4.0
演出
4.5

フランスの地方都市クレルモンフェラン。クリスマス直前の日曜日、教会のミサに行った"私"は、祈りを捧げる若い女フランソワーズに一目惚れしてしまう。夕方、14年ぶりに再会した友人に誘われ、モード家を訪れた"私"は、その女主人にも心惹かれ-------。

性格的に真面目な男性が、二人の女性の間で引き裂かれ、最終的に一方の女性に誠実であることを選ぶのが、「六つの教訓話」シリーズの第3作目であるこの作品「モード家の一夜」だ。

映画の中で、一人称の"私"で語られる男は、30代半ばのエンジニア。敬虔なカトリック教徒で、女性関係はクリーンというか、晩熟である。彼が心惹かれる女性その1は、カトリック系の学校に通う女子学生フランソワーズ。教会で祈る彼女の姿は、清楚この上ない。

女性その2は、離婚して娘と二人暮らしの女医モード。理知的で教養深く、加えて自由奔放な彼女は、男なら誰だって飛びつきたくなる程、セクシーな大人の女性なのだ。

"私"は、フランソワーズをひと目見るなり、彼女こそ僕の妻となる女性だ、と確信。その一方で、友人に紹介されたモードの、誘いかけるような魅惑的な瞳に引きづられ、ついつい一夜を伴にしてしまう。しかも、何もないままに。そして、その翌日、今度はフランソワーズと、またもや何もしない一夜を過ごす"私"。

このように、彼の女性に対する初心な真摯さは、はっきり言って滑稽だ。自分の思い込みでしかない"精神的な浮気"に悩むその姿も。彼は、"禁欲"が欲望の裏返しであり、男の女に対する偽善であることに気付いていないのだ。

だが、女たちは"私"の本質を見抜き、様々な形で彼を試すのだ。雪の降る公園で、妻子持ちの男との関係を打ち明けるフランソワーズ。それを聞く"私"の、受難を耐え忍ぶごとき面持ちの可笑しさ-------。

男の寛容を見せた"私"とフランソワーズが結婚し、数年後。夏の海水浴場で、彼ら夫婦とモードが出会うラスト。三人三様の反応に露呈する嘘と真実。余韻の残るアイロニックなユーモアが、実に絶妙だ。このエリック・ロメール監督一流の、澱みなく流れていくウイットの効いた会話の刺激的な面白さは、まさに天下一品だ。

しかし、何と言ってもスリリングなのは、相手の話を聞いている人物に、ピタッと据えられたロングショットだろう。それが捉える、本人すら意識していない"深層心理の微妙なニュアンス"-------。

これこそ、会話のドラマであると同時に、行間のドラマでもあるエリック・ロメール監督の映画の、何度観ても飽きることのない醍醐味なのだ。

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