奇跡の物語、一枚の写真から始まる恋愛映画
タイトル通り、全て“一枚”から始まる
海兵隊として働いていたザック演じるローガン・ティーボウは派遣先のイラクでキラキラ光るものを見つけそこに近寄ると一枚の女性が写っている写真を見つけました。その瞬間、彼が数メートル先にいた場所が空爆を受けてしまい隊員の数人は死亡しましたが彼は命拾いをしたのです。その時点で奇跡のような話なのですが、その後も写真を拾ってからのローガンは何度も命拾いをし、ある時の車での移動中に攻撃を受けた時は彼以外は死亡したのにもかかわらず、彼は生き残ったのです。
こういう作品を日本でやるとなかなか現実味がなく感じられてしまったり別世界のものに感じてしまうことが多いのですが、やはり海外の映画になってくると現実味も沸き“本の中の物語”感が少なくなるように感じます。最近は日本でも戦争や爆撃、原爆など少しずつ危機感を感じなければならない時代になりつつあるように感じます。そんな中んでこの作品はその問題についても考えられる作品になっているのだと思います。特に序盤は「恋愛もの」というより「世界の戦争問題」についても考えられる作品になっていました。
そしてローガンはそれ以来写真の女性を自分の命の恩人と感じるようになるのですが、そこからその写真をもとに彼女を探し出すことを決め、話が恋愛ものへと進んでいきます。
人間心理がうまく描かれているストーリー展開
お世話になっている家族となかなかうまくもいかず、夢でうなされていたりしていたローガンは写真を手掛かりにコロラドからルイジアナまで歩き通して写真に写っている女性を探し出す旅に出ます。
その前にある家族とうまくいかないシーンなどはとてもうまく作られており、夢にうなされて心のバランスが取れないローガンと子供たちの無邪気な遊び心がなかなかうまく噛み合わずそこに居づらくなるというのも話の展開としてリアリティも増し子供たちだけでなくその親目線の感情や、もちろんローガンの心の動きなどもうまく観ることが出来る作品になっていました。
そして探していた彼女ベスと出会ってからはもっとそのような心の動きが見られます。最初は写真のおかげで自分が命拾いをした感謝の気持ちを伝えようとして探していたのですが、彼女と祖母が運営している犬の訓練施設の求人の応募と勘違いされローガンは働くことになってしまうのです。彼女の写真が兄弟に渡していたものだったことやベスの元夫との関係性、自分の彼女に対する恋愛の芽生えなど様々な問題でなかなか写真について話すタイミングがなくなってしまうのです。しまいにはその写真を隠してしまうのですが、そのローガンの揺れ動く心がとても分かりやすく、しかし繊細に描かれているこの作品はもちろんザックの演技力はもちろんなのですが話の展開もとても上手だなあと感じました。
この作品は『きみに読む物語』や『親愛なるきみへ』などの原作者が描いている純愛物語ということもあり、とても人気の恋愛小説の一つです。ですので、話の流れ方や設定なども念密に行われていることが分かりますし、監督もスコット・ヒックスで恋愛映画を描くうえでとても実力を持っている監督です。
全てのバランスがしっかりと考えられて作られている作品だからこそ、嘘っぽさや作られているという感覚がなくすんなりとこの物語の中に引き込まれて行けるのだと思いました。
恋愛模様は文句なしのじれったさ
恋愛ものを観ているともちろんその中に展開が必要になってくるのでうまくいかないことが出てくるのは当たり前なのですが、この作品は本当に最後までなかなかうまくいず本当にじれったいですね。
元夫のキースを演じたジェイ・R・ファーガソンの表情が何とも言えない人の悪さを表すのがとても上手で主演二人を生かして自分の爪痕を残しているのが流石の演技力だなあと思いましたし、最後のキースとの別れ方も、運命としか言いようのない別れ方でした。物語の人物からしたらなかなか罪悪感を感じることもあるのかもしれませんが観ている側からしたらとてもすっきりとした別れだったんじゃないかなあと思います。誰も悪くない、誰も傷つけていないと感じることが出来ました。
最後の二人の結末はもっとすんなりくっついてもいいような気がしました。なぜそこまでじらす必要があるのだろうと感じましたし、気持ちの持ち方によってはそうなってしまうのかもしれませんがもっと二人が幸せな部分も最後描いてほしかったなあと感じてしまう部分が少しありました。
最後までじれったさ満点の映画でした
恋愛ってなかなかうまくいくことばかりではありませんが、ここまでドラマチックで前途多難な恋愛だと少し諦めたくなる部分も出てきてしまうように私は感じましたが、これが初恋だったり逆にいろんな恋愛を重ねてきた人からしたらとても心が締め付けられる恋愛になるのかなあと感じます。私にはきっとこんな恋愛できなさそうな気もしますが、映画で体験するにはちょっと刺激的で面白いのかもしれませんね。
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