酔いがさめたら、うちに帰ろう。の評価
酔いがさめたら、うちに帰ろう。の感想
ノンフィクション映画の強さ
アル中の旦那を支える家族の様子が生々しく見える元戦場カメラマンでアルコール依存症の浅野忠信演じる塚原安行とその家族との闘病生活の様子が描かれているこの作品はポップに描かれている部分もありながら、かなり生々しく家族が感じる怖さや大変さがリアルに描かれていました。浅野忠信さんのお芝居もとてもリアリティ溢れる演技だったこともあり余計に恐怖心をかき立たされているのもあると思うのですが、浅野忠信さんはやはり映画で見ると余計にお芝居のうまさが引き立っている気がします。最近ではドラマで見る機会も増えてきていますが映画のような世界感の方が似合っていると思います。この作品を見るまでアルコール依存症がどういった問題を引き起こしてしまうのかあまり分からなかったのですが、こんなに中毒性があって危険性の高い病気だったことに驚きました。幻聴や幻覚はもちろん、すぐにキレて暴力をふるっている様子には本当に観ている側で...この感想を読む
心に置くバイブル
誰しも過去や現在において、戒めとなる物語がある筈だ。疲弊した自分自身を見つめ直す源泉となるもの。まるで鏡に映し出された自我を見ているか、登場人物が語り掛けてくるような。淀みを抱えた現代人は何か漠然とした不安感に覆われている、そんな感覚が逃げ道を求める。決して正しい道だけでは無い。逸れてしまった人が遭遇するのは逃れようの無い巨大な穴だ。穴には幾つもの心 を支配下に置こうとする魔物が存在している。それが依存症だ。ギャンブルや薬、インターネットなどが例に揚げられる。アルコール依存症による支配は身体と精神を縛り付けてしまう。この作品の圧倒的な臨場感は原案が手記を元にしている点にあるだろう。酒が抜けると感情を爆発させる患者達の確執はそこらにある会社の人間関係と何ら変わりが無い。施設の中はまさに小劇場で、ライブ感覚で観る者を捉えて離さないのだ。登場人物を上司や同僚、後輩に置き換えて鑑賞すれば、日頃の...この感想を読む