イケメン男子パラダイス。 - そんなんじゃねえよの感想

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漫画レビュー数 3,136件

そんなんじゃねえよ

4.674.67
画力
4.67
ストーリー
4.33
キャラクター
4.33
設定
4.33
演出
4.17
感想数
3
読んだ人
5

イケメン男子パラダイス。

5.05.0
画力
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
4.5
設定
5.0
演出
5.0

目次

また漫画が読みたくなったきっかけ。

私は小学生の頃から漫画が大好きで、30代位までは月刊の漫画雑誌も読んでいたのですが、好きだった漫画雑誌が次々と廃刊になり、その頃から新人の若い漫画家さんの作品は世代ギャップを感じて、ちょっと遠ざかるようになり、以前から好きな漫画家さんの作品の新作だけが楽しみになっていました。ところが、本屋さんの漫画のコーナーでウロウロしていた時、ふと目について手にとった漫画がこの「そんなんじゃねえよ」でした。とにかく絵柄が凄く好みで、表紙の男の子がカッコいい。裏を読んだら面白そうだな・・・と思って、ふと一巻を衝動買いしました。そこからのめり込んで最終巻まで買って読みました。その後、大好きな漫画家さんの一人になり、また2000年以降の若い漫画家さんの中では唯一、コミックを買うのがこの和泉かねよし先生です。若い漫画家さんで、内容も学園物で、世代ギャップを感じそうなものですが、やはりどの時代でも、面白い作品は老若男女問わず、面白いと感じるのですね。それを再確認させてくれた作品でした。

シリアスになり”過ぎない”。暗くなり”過ぎない”。

これがこの「そんなんじゃねえよ」の面白い点だと思います。このお話の内容なかなーりシリアスです。母(涼子さん)、双子(?)の超・美形兄弟(列と哲)、妹(静)の四人家族なのですが、この家族のバックグランドはもう果てしなく謎だらけで、複雑怪奇です。母と死んだ父(真宮俊二)の間に生まれたのは実はこの妹の静ただ一人。列は俊二と兄の亨一の嫁との間に産まれた子供で、哲は亨一と不倫相手の間に生まれた子供。という訳で、みんなどっかしら、濃かれ、薄かれ、血がうっすら繋がっているのですが、両親はバラバラ。亨一、亨一の妻、俊二の三人が一緒に交通事故で亡くなってしまった事から、そんな四人が一つ屋根の下、家族として過ごす事になります。そのそれぞれの出生の謎が三人が高校生になった時から、ちらちらと染み出てくるのです。もう物凄く複雑で、「で!誰が誰の子供なんだ!?」と気になって、最後まで読んだ次第です。笑。でも、こんな超・シリアスな一見ドロドロに見えるストーリーですが、実に面白く、お話は軽快に進んでいきます。シリアスな場面でも何か笑いがあったり、そんなところが救いようがない位ある意味悲惨な家族の話を、前向きな感じで仕上げているのは、作者の和泉かねよしさんの性格の反映と、力量でしょうか。

とにかくカッコいい真宮ブラザーズ。

という訳で、お話が面白いのは上述の通りですが、なんと言っても静の双子(?)の兄、地域のアイドル真宮ブラザーズがカッコいいのですね。笑。高身長・スポーツ万能・ケンカはめっぽう強い。けど、シスコンという二人。とにかく全編にみなぎる、特に列の裸のガタイの良さとか、ホストもビックリなセリフとか、もう雄のフェロモンが出まくってて、当時アラフォーだった私でも、高校生の登場人物にドキドキになった位です。笑。私は断然この通り列がお気に入りだったのですが、哲が一番人気だったようです。人の好みは色々ですね。ちなみに頭の方は哲が賢くて、列は悪い。笑。(実はここに彼らの両親の謎がのヒントが隠されていたのですね。哲の実父の亨一が頭が良かった。)そんなモテモテの二人が、妹命のシスコンなのです。その設定が面白過ぎますが、その理由は決して面白い訳ではなく、その奥底にあるものはとっても深い。その上、これまた医者の息子でジャニーズ系ハンサムの仁村くんまで静の事を好きになります。

静のコンプレックス。

・・・とここまで書くと、静ちゃん良いなぁ!役得!と思うでしょうが、設定的にいくら超美形の男子とはいえ、2人とも兄弟。決して報われる事はない。そこで仁村くんに少し惹かれるものの、本当に好きなのは哲という、羨ましいような、羨ましくないような、立場の主人公の静ちゃん。彼女はその狭間の中で葛藤を繰り返します。実は可愛いのに、兄弟が目立つわ、母親が美女だわで、自分に凄いコンプレックスがあったり、色々複雑な彼女で、一見脆いように見えるのですが、実は芯はとても強い。そんな彼女はついつい応援したくなるキャラでした。あ、実はこの仁村くんは実は哲の異父兄弟だった!という設定です!もう昼ドラもビックリな設定でした。笑。むしろ、昼ドラが参考にして欲しいと思う位です。ドラマにしたらかなり面白いかもしれません。笑。

最強キャラ、涼子さん。

最後に忘れてはならない、この真宮ブラザーズと静の育ての母親・実母の真宮涼子さんについて書きたいと思います。この人は超・美人で頭も良く、看護師としても一流のキャリアウーマン。自分の子供ではない二人の息子も実子として引き取って女手一つで育てるのですが、その彼女、悲壮感も自己憐憫も皆無の超ポジティブな女性で、凄い男前。その彼女が数度だけ見せた弱い部分が、それだけに凄く印象に残りました。人物のそれぞれの心の動きや描写もとても良かった作品です。

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他のレビュアーの感想・評価

ドロドロのはずなのに楽しい作品

割とさっぱりした温かな家族哲と烈と静。この哲と烈は超美形の双子だけど、静はとても平凡な見た目の女の子。普通なら家族なんだからどんなに近しい存在だとしても結婚なんてできない。だけど双子は静を溺愛し、いつかは自分が静と付き合いたいと思うほどに愛してしまっていた…言葉で書いてみると、なんてドロドロした物語なんだろう…って思うんですけど、読んでみると割とさっぱりしてるんですよね。それはたぶん、哲と烈がお互いに小さなころから静とは血がつながっていないということをどこかで感じていて、だけど哲と烈たち自身も双子の兄弟であることを大事にしてきたからであり、静の幸せを誰よりも考えてきたからこその空気感なんだろうなと思います。そして、母親である涼子さんの教育がすごい。あんたたちには絶対に言わない。私の息子と娘。それに違いはない。そう言い切る涼子さんがとにかくかっこいい。女手一つで育て上げ、男と遊ぶことも欠...この感想を読む

4.54.5
  • betrayerbetrayer
  • 84view
  • 3020文字
PICKUP

関係性は最悪なのに明るいお話

妹を双子の兄で取り合う話ネーミングセンスがいいと思う。双子の名前が哲と烈。男の人で一文字に収まってるとすっきり感があっていいよね。血のつながりがある兄妹のはずなのに、双子のに兄たちは妹を超溺愛している…ただ、溺愛の仕方はマイルドというか、危険はないんだよね。付き合いたいって思ってるのはリアルみたいなんですが、自分たちが静の兄であること・静の幸せを誰よりも考えているからこそ、関係をぶち壊すようなことは起きてなくて。哲と烈だって、お互いに双子で仲良くなってきたし、好きだー!!って言ってても、お互いを大切にしているのが伝わる。さらに、お母さんが強者。涼子さんは美しきおばさまで、みんな私の子どもだと言い切る。あたしが育てたんだから、3人そろって自分の家族であり二言はない。ビシッと言い切る涼子さんが素敵だ。子育てしながら男と遊ぶ時間も確保し、常に女として綺麗であり続ける涼子さん。素晴らしい。その...この感想を読む

4.54.5
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  • 90view
  • 3015文字

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