イケメン男子パラダイス。
また漫画が読みたくなったきっかけ。
私は小学生の頃から漫画が大好きで、30代位までは月刊の漫画雑誌も読んでいたのですが、好きだった漫画雑誌が次々と廃刊になり、その頃から新人の若い漫画家さんの作品は世代ギャップを感じて、ちょっと遠ざかるようになり、以前から好きな漫画家さんの作品の新作だけが楽しみになっていました。ところが、本屋さんの漫画のコーナーでウロウロしていた時、ふと目について手にとった漫画がこの「そんなんじゃねえよ」でした。とにかく絵柄が凄く好みで、表紙の男の子がカッコいい。裏を読んだら面白そうだな・・・と思って、ふと一巻を衝動買いしました。そこからのめり込んで最終巻まで買って読みました。その後、大好きな漫画家さんの一人になり、また2000年以降の若い漫画家さんの中では唯一、コミックを買うのがこの和泉かねよし先生です。若い漫画家さんで、内容も学園物で、世代ギャップを感じそうなものですが、やはりどの時代でも、面白い作品は老若男女問わず、面白いと感じるのですね。それを再確認させてくれた作品でした。
シリアスになり”過ぎない”。暗くなり”過ぎない”。
これがこの「そんなんじゃねえよ」の面白い点だと思います。このお話の内容なかなーりシリアスです。母(涼子さん)、双子(?)の超・美形兄弟(列と哲)、妹(静)の四人家族なのですが、この家族のバックグランドはもう果てしなく謎だらけで、複雑怪奇です。母と死んだ父(真宮俊二)の間に生まれたのは実はこの妹の静ただ一人。列は俊二と兄の亨一の嫁との間に産まれた子供で、哲は亨一と不倫相手の間に生まれた子供。という訳で、みんなどっかしら、濃かれ、薄かれ、血がうっすら繋がっているのですが、両親はバラバラ。亨一、亨一の妻、俊二の三人が一緒に交通事故で亡くなってしまった事から、そんな四人が一つ屋根の下、家族として過ごす事になります。そのそれぞれの出生の謎が三人が高校生になった時から、ちらちらと染み出てくるのです。もう物凄く複雑で、「で!誰が誰の子供なんだ!?」と気になって、最後まで読んだ次第です。笑。でも、こんな超・シリアスな一見ドロドロに見えるストーリーですが、実に面白く、お話は軽快に進んでいきます。シリアスな場面でも何か笑いがあったり、そんなところが救いようがない位ある意味悲惨な家族の話を、前向きな感じで仕上げているのは、作者の和泉かねよしさんの性格の反映と、力量でしょうか。
とにかくカッコいい真宮ブラザーズ。
という訳で、お話が面白いのは上述の通りですが、なんと言っても静の双子(?)の兄、地域のアイドル真宮ブラザーズがカッコいいのですね。笑。高身長・スポーツ万能・ケンカはめっぽう強い。けど、シスコンという二人。とにかく全編にみなぎる、特に列の裸のガタイの良さとか、ホストもビックリなセリフとか、もう雄のフェロモンが出まくってて、当時アラフォーだった私でも、高校生の登場人物にドキドキになった位です。笑。私は断然この通り列がお気に入りだったのですが、哲が一番人気だったようです。人の好みは色々ですね。ちなみに頭の方は哲が賢くて、列は悪い。笑。(実はここに彼らの両親の謎がのヒントが隠されていたのですね。哲の実父の亨一が頭が良かった。)そんなモテモテの二人が、妹命のシスコンなのです。その設定が面白過ぎますが、その理由は決して面白い訳ではなく、その奥底にあるものはとっても深い。その上、これまた医者の息子でジャニーズ系ハンサムの仁村くんまで静の事を好きになります。
静のコンプレックス。
・・・とここまで書くと、静ちゃん良いなぁ!役得!と思うでしょうが、設定的にいくら超美形の男子とはいえ、2人とも兄弟。決して報われる事はない。そこで仁村くんに少し惹かれるものの、本当に好きなのは哲という、羨ましいような、羨ましくないような、立場の主人公の静ちゃん。彼女はその狭間の中で葛藤を繰り返します。実は可愛いのに、兄弟が目立つわ、母親が美女だわで、自分に凄いコンプレックスがあったり、色々複雑な彼女で、一見脆いように見えるのですが、実は芯はとても強い。そんな彼女はついつい応援したくなるキャラでした。あ、実はこの仁村くんは実は哲の異父兄弟だった!という設定です!もう昼ドラもビックリな設定でした。笑。むしろ、昼ドラが参考にして欲しいと思う位です。ドラマにしたらかなり面白いかもしれません。笑。
最強キャラ、涼子さん。
最後に忘れてはならない、この真宮ブラザーズと静の育ての母親・実母の真宮涼子さんについて書きたいと思います。この人は超・美人で頭も良く、看護師としても一流のキャリアウーマン。自分の子供ではない二人の息子も実子として引き取って女手一つで育てるのですが、その彼女、悲壮感も自己憐憫も皆無の超ポジティブな女性で、凄い男前。その彼女が数度だけ見せた弱い部分が、それだけに凄く印象に残りました。人物のそれぞれの心の動きや描写もとても良かった作品です。
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