関係性は最悪なのに明るいお話
妹を双子の兄で取り合う話
ネーミングセンスがいいと思う。双子の名前が哲と烈。男の人で一文字に収まってるとすっきり感があっていいよね。血のつながりがある兄妹のはずなのに、双子のに兄たちは妹を超溺愛している…ただ、溺愛の仕方はマイルドというか、危険はないんだよね。付き合いたいって思ってるのはリアルみたいなんですが、自分たちが静の兄であること・静の幸せを誰よりも考えているからこそ、関係をぶち壊すようなことは起きてなくて。哲と烈だって、お互いに双子で仲良くなってきたし、好きだー!!って言ってても、お互いを大切にしているのが伝わる。
さらに、お母さんが強者。涼子さんは美しきおばさまで、みんな私の子どもだと言い切る。あたしが育てたんだから、3人そろって自分の家族であり二言はない。ビシッと言い切る涼子さんが素敵だ。子育てしながら男と遊ぶ時間も確保し、常に女として綺麗であり続ける涼子さん。素晴らしい。その点、静はおっちょこちょいなところがあって、美人…?と思われるような子。哲と烈も、血のつながりはないって否定してきた。
案の定、言い切ってたのに血のつながりがなかった。しかも、ストーリーの展開が面白いことになっていた。はじめ、烈が養子だと話が出て、烈と静が異母兄弟であったと発覚。一安心、と思ったら哲は涼子さんのお友達の子どもであったと分かる。正々堂々と挑むことは哲にしかできなかったのだ。烈も哲もどちらも魅力的で、甲乙つけがたい男の子。決まってしまった時は、やっぱりか~…とちょっぴり烈を思って苦しくなる、そんなお話だ。とりあえず、倫理・道徳を飛び越えた作品にならなくてほっと一安心ではある。
静はやっぱり涼子さんのDNAを引き継いでいる
双子の烈と哲、お母さんはとっっても美形。なのに自分はちっともきれいじゃないし、モテない。自分なんか…と自分自身で思い込んでいる静。言いたいことがあっても、聞き入れてもらえないんじゃないかって思ったらもう喋れない。弱いというか、プライドが高いというか。哲と烈からしてみれば、そんな性格はむしろ超好都合。俺たちだけの花だから、誰にもあげない。誰にも知られなくていい。静の魅力を知る男が出てきたらどうしようってむしろ思っている双子の兄。お兄ちゃんたちにいつも頼っていたらダメだ!って静はがんばっているのにね。兄たちは兄離れさせたくないのだ。
静は何らかの精神的なピンチになったとき、涼子さんモードが発動する。美しく、自信があり、気高い雰囲気で相手を論破する…その姿、まさしく母親の涼子さんそのもの。やっぱり一番大切な女は静って思う兄たち。結局のところ、静は十分美人にも関わらず、その性格のせいで下ばかり向いていて、美人だと気づかれなかっただけなのだ。毎回のこのシーンが、まさに時代劇の「成敗いたす!」って気分になれて、すがすがしい。だから何回も読んでしまうんだ。
烈と哲は静がそういう女だってわかっているから離さない。そのくせ自分たちは好き放題に女をつくって遊んでた。最後は静だけだよってささやくのに、体は男の子と言うか、なんというか。寄ってくる女の子は拒まない。静はただでさえ烈と哲の人気が高すぎるせいでいびられて大変だって言うのに。それでも、家族だからとがんばって気持ちを強く持っているのが静なんだよ。負けるな静!
仁村がいとしすぎた
涼子さんに恋してたはずだったんだよ、仁村は。ナースで、美人で、男を腐るほど喰っては捨ててきた涼子さんの魅力に、ドはまりしていた仁村。だけど涼子さんは自分の息子たちくらいの男は年下すぎて興味がないと吐き捨てる。頬を赤らめて告白したって、かわいいから相手にしてもらえない。だから仁村は娘の静に手を出すんですな。涼子さんに近づけるかなっていうより、娘がどんなもんか興味があるというか。
そして仁村は静にfall in loveしてしまう。あぁ…どこまでも愛しいやつ。仁村がどんどん女の子みたいにかわいく変貌していく。うつ向いちゃってさ、それこそ女みたいに、静に告白するんだもの。静は涼子さんに似ているところがあるから、どっかで頭があがらない。涼子さんにしてることと同じことを静にしている仁村。すでに大敗北している。静を抱きしめながら、好きじゃないとか言っちゃってる仁村…
萌の境地。哲と烈じゃない。運命の人は仁村。決定…!仁村なら何も気にしなくていいじゃない!大丈夫じゃない!プライド捨てて、欲しくなっていいじゃない!
本当に人を好きになるってことがどういうことか、仁村が知ることができて良かった。静には仁村を選んでほしかった。哲と烈なら、兄妹なんだから、いつだって会えるじゃん。仁村とは、付き合ってなきゃ会うことなんてないんだよ。もったいなさすぎて、絶対お似合いだったのに、悔しい気持ちでいっぱいだ。静は涼子さんという美魔女の娘。罪作りな女なのだ。
哲とのイチャイチャが確かに多かった
静をフォローするときは、正面からは烈で、裏からは哲。そして大事なところで支えてくれるのはいつも哲だった…初めからそうだったのに、烈が異母兄弟だったとか、いろいろな情報に騙されて、すっかり哲フラグを忘れていたよね。
哲の生まれた背景、静の生まれた背景、そして烈の生まれた背景。たくさんのものが、子どもたちの世代になってもごちゃごちゃと絡みついていた。この部分だけは妙に生臭い関係性だったね。勝手なことをする奴がいたせいで、後々苦労する人間がいる。涼子さんの素晴らしき人格がなかったら、今の幸せな家族はないのだ。好きな人がいたのに、別の人とも…なんて傲慢は、ちゃんと避妊してください…と、ここで、涼子さんが、「避妊はしろよ」と烈に言っていたセリフとリンクしちゃうんだな~ガチで、そう言っていたと思う。
悲しいこともたくさんあったけど、涼子さんは自信を持って生きていて、自信をもって子どもを育てている。なんてカッコいいんだろうよ。お父さん役もお母さん役もどっちも担っている涼子さん。完璧すぎる。
親の世代から続く因果が…とか言ってると、すっかり韓国ドラマ臭が出てくる。母親どうしの戦い、不倫だけど本気の恋だったとか、まさにそれ。哲の事に関してはあまりいい気持ちにはならなかったのだが、それでも今の哲があるのは、間違いなく涼子さんと烈と静のおかげだから。子どもに罪はないのだ。
まだ引っ張ってもらいたかった
静かが哲を選ぶまでの紆余曲折も楽しい要素だったが、この漫画、まだまだ面白い要素が満載だった。静の涼子モードの時のカッコよさをもっと見たかったし、静の女友達のゲスい会話や、女同士の生々しい争い、ネガティブ女子だった静の女子への鋭い洞察などなど…いつも笑わせてもらった。また、涼子さんの美魔女ぶりを発揮したところや、実際のお相手の数々を拝見させてもらいたかった…
哲が実際に遊んでいたのは、果たして誰もいなかったのか、それともあの初体験の女の人以外にも遊び相手がいたのか…わからないことはまだいっぱい。ハッピーエンドだが番外編はいつでもお待ちしている。仁村にはしばらく静を引っ張ってもらって、かわいいまんまでいてくれないかなーと思う。もう少し哲とバトってくれてもいいなと思う。彼が好きになるのは、きっと気高く強い心の女性なんだろうね。母親と違う要素を持ち合わせた女性に惹かれてしまう、それが仁村の運命なんだろうと思う。
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