ドロドロのはずなのに楽しい作品 - そんなんじゃねえよの感想

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そんなんじゃねえよ

4.674.67
画力
4.67
ストーリー
4.33
キャラクター
4.33
設定
4.33
演出
4.17
感想数
3
読んだ人
5

ドロドロのはずなのに楽しい作品

4.54.5
画力
4.5
ストーリー
4.0
キャラクター
4.0
設定
4.0
演出
3.0

目次

割とさっぱりした温かな家族

哲と烈と静。この哲と烈は超美形の双子だけど、静はとても平凡な見た目の女の子。普通なら家族なんだからどんなに近しい存在だとしても結婚なんてできない。だけど双子は静を溺愛し、いつかは自分が静と付き合いたいと思うほどに愛してしまっていた…言葉で書いてみると、なんてドロドロした物語なんだろう…って思うんですけど、読んでみると割とさっぱりしてるんですよね。それはたぶん、哲と烈がお互いに小さなころから静とは血がつながっていないということをどこかで感じていて、だけど哲と烈たち自身も双子の兄弟であることを大事にしてきたからであり、静の幸せを誰よりも考えてきたからこその空気感なんだろうなと思います。

そして、母親である涼子さんの教育がすごい。あんたたちには絶対に言わない。私の息子と娘。それに違いはない。そう言い切る涼子さんがとにかくかっこいい。女手一つで育て上げ、男と遊ぶことも欠かさず、ずっと綺麗であり続けている…最強の美魔女だと言えますね。そんな涼子さんだからこそ、女遊びの激しい烈と哲ができあがったわけです。もう法律や倫理を飛び越えていくんじゃなかろうかと思ったけれど、結局は血がつながっていないというお話でした。はじめは静があまりにも似ていないから静がよその子なんだろうってことで静をめぐって争ってた哲と烈ですが、今度は烈が養子だという話が浮上。そしたら烈と静は異母兄弟だったってことで、結局みんなは家族なんだね~…って言ってたら、実は涼子さんのお友達たちの間でのドラマがあって、哲は涼子さんのお友達たちの子どもということが発覚。正々堂々と静と付き合える権利を持っていたってところに行き着いてしまったわけです。ずっとたどり着いてほしかった答えなのに、たどり着いてほしくなかった。こんなせつない気持ちはなかなか味わえないと思いますよ。

確かに涼子さんの娘

近くでまじまじと光輝く母親や兄たちを見てきた静は、そのせいで自分には魅力がない・兄たちを取ったら自分には何も残らない…と自分を卑下する性格に育ち、自分に自信のない子に育ってしまいました。言いたいことが頭に浮かんでも、封印してしまう臆病な子。自分が傷つきたくないからと閉じこもるプライドの高い子に。哲と烈だけがその魅力を知っていればいい。静を愛せるのは俺たちだけだし、静も俺たちだけ見ていればいい。とても深い愛情だね…どんなことがあろうが静を守る。こんな兄に囲まれてもなお、自分としての価値や頼らず生きていく方法を探す静は、健気だなーって思います。

そして、この漫画で一番いいなーって思うのは、静が精神的に追い詰められたときに発揮する、涼子さんばりのオーラと発言と見た目…これを見たくて毎回読んでるようなものでしたよ。結局、涼子さんの遺伝子を色濃く受け継ぎ、見た目だって十分美人だったわけです。それが性格が災いして見えてなかっただけっていうね。哲と烈だけが知っていた魅力。いずれは自分たちのもとから巣立っていくんだろうか。男ってずるいなー…だって自分たちはさ、かわいい女の子がわんさか寄ってきて、好き放題に遊びまくって欲を発散しておきながら、静も自分の手元に置いておこうとするんだもんね。一番大事な子は大事にしまっておいて、欲を発散させるだけの女の子はいくらでもって…ずるいよ!お兄ちゃんたちばっかり!静はどうしたらいいのかわからないし。ずるいことや、女だからこそ女たちの熾烈な争いにも負けず、それでも兄を、家族を、自分にできる正しいことを精一杯守ろうとする姿。十分素敵な女の子です。

仁村登場

仁村がね…涼子さんを自分のモノにできないからって娘のほうに近づくわるーい男で。そんな仁村がどんどん静かにハマっていく様子がすごい楽しかったです。しかも、そんなに悪い奴でもないなーって思えますもん。医者の息子で、涼子さんとは顔を合わせる仲で。誘いに乗らない涼子さんをオトしたくてやってるんじゃなくて、涼子さんみたいな強さがほしいというような憧れのようにも思えました。読み進めるにつれ、仁村はどんどんかわいくなっていきます。3回目の告白なんてもう…萌の境地にたどり着いたかと思うほどのコメントをいただきました。

俺とつき合ってよ 静ちゃん

うつ向いて言うこのセリフ。なんてかわいいんでしょうか…そして

あんたなんて好きじゃない

と言いながらのこの抱き寄せシーンの美しさ!!!とんでもない、言葉とは裏腹の行動。静も仁村もなんて美しい表情をしているのでしょうか…萌えずにいられない!仁村と付き合って万事OK。兄は兄でよろしくやってくれと思いました。あんなに静をおもちゃだと言っていたのにね。静が欲しくてほしくてたまらない。血のつながりだろうと何だろうともはやなんだってほしいくらい。つながっていられる哲と烈がうらやましくてしょうがない。本当に好きになるということ、知れてよかったね。最後まで仁村と結ばれて欲しいと願ったけれど、そうはならないこの世のつらさが憎い…

どおりで哲が多いわけだよ

だって当初からいいコメント残したり、裏でけん制してくれていたり、要所で静を引き留めるのはいつも哲。もう哲と静が血がつながってないフラグじゃん!静はすげーんだよ、お前に何が分かるって言いまくってたし、何となく予想はしていたけれど、烈の養子説やもろもろがあって見事にひっかきまわされましたよ。そしてようやく哲と静おめでとう!ということになった。でもな~…涼子さんの親の世代から続く因果みたいなのってちょっとドロッとしてここだけは嫌でした。不倫がどうこう、実は他に好きな人がいたのに別の人と…とか、そして事故で死んじゃって…なんて勝手なこと。涼子さんがいかにすごい人かを痛感させられ、そんな人だからこそここまで女手一つで3人もの子どもを育ててきたんだろうし、あれだけ自信をもって自分の人生を生きているんだろうなって思いました。涼子さんは悲しいことをたくさん踏み台にして、今のステージに立っている。かっこいいじゃないですか。働く女性の鏡だなー…って感心しきりです。

哲の優しさはわかってるんですけどね。それでもここに至るまでの親の世代から続くものを考えると、すっきりとはしたくないと思ってしまいます。

続いてほしかった気もしてくる

正直言うとですね、続いてほしかったです。静が誰を選ぶのか?っていうのももちろん楽しい要素でしたけど、静のビシッと決めるセリフもまだまだ聞きたかったし、静のお友達が繰り広げる女の生々しい争い、静の女の子の行動に対する女らしい洞察の言葉、涼子さんの武勇伝などなど…まだまだ楽しめる要素がたくさんあったと思っています。なんか哲とうまいことまとまってしまって、ハッピーエンドではあるんですけど…そういえば、烈と他の女の子との生々しいシーンは描写がありましたが、哲と他の女の子とのシーンは全然なかったなぁ…話の中では、俺は静の絶対いないところでやると言っていたので、それを忠実に表現してくれたのかもしれないですけど。哲はもしかしたら最初から誰も選んでいなかったのかな?とか、考えちゃいました。というか、その線が濃厚だと思っています。普通に女の子と遊んでるシーンもちょっと見てみたかったですけどね。事の後にどんなふうに静のもとに帰ってきてたのかとか。知りたくないけど知りたかったなーって気がしています。

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他のレビュアーの感想・評価

関係性は最悪なのに明るいお話

妹を双子の兄で取り合う話ネーミングセンスがいいと思う。双子の名前が哲と烈。男の人で一文字に収まってるとすっきり感があっていいよね。血のつながりがある兄妹のはずなのに、双子のに兄たちは妹を超溺愛している…ただ、溺愛の仕方はマイルドというか、危険はないんだよね。付き合いたいって思ってるのはリアルみたいなんですが、自分たちが静の兄であること・静の幸せを誰よりも考えているからこそ、関係をぶち壊すようなことは起きてなくて。哲と烈だって、お互いに双子で仲良くなってきたし、好きだー!!って言ってても、お互いを大切にしているのが伝わる。さらに、お母さんが強者。涼子さんは美しきおばさまで、みんな私の子どもだと言い切る。あたしが育てたんだから、3人そろって自分の家族であり二言はない。ビシッと言い切る涼子さんが素敵だ。子育てしながら男と遊ぶ時間も確保し、常に女として綺麗であり続ける涼子さん。素晴らしい。その...この感想を読む

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