邦題がひどすぎて観てなかった作品 - ミニミニ大作戦の感想

理解が深まる映画レビューサイト

映画レビュー数 5,784件

邦題がひどすぎて観てなかった作品

3.53.5
映像
4.0
脚本
3.5
キャスト
4.0
音楽
4.0
演出
4.0

目次

原題「The Itarian Job」

原題はこのように普通なのに、邦題はどうしてそうなったという映画は少なくない。「コップ・アウト~刑事した奴ら」しかり「ハリウッド的殺人事件」しかり「ベガスの恋に勝つルール」しかり。「Story Of Love」に至っては、どうして原題「Story Of Us」のままにしなかったのかとつくづく思う。この作品もそういったものの一つで、おかげでなかなか手にとってみようとは思わなかった。だけどたまたま家にこれを含めたいくつかのDVDがあり、時間的に最後まで観れそうになかったけれどそれでも後悔しそうにないものを一つ選んで観たのがこれだった。結果、なかなか途中でやめることができずに時間ぎりぎりまで観た挙句、観れなかった残りを日を改めて観るまでとなってしまった。邦題で損している映画の最たるものだと思いきや、よく調べてみたらこの「ミニミニ大作戦」は2003年に公開されたのだけど、それは1969年に公開されたものをリメイクしたものだった。1969年に公開された映画はすでに「ミニミニ大作戦」だったので、これを受け継いだと思われる。当時は、おしゃれなミニクーパーを全面に出したいという意図があったのかもしれない。カーチェイスものが人気だった時代だったろうから、“大作戦”という言葉からそれを感じてもらいたいという意図もあったのかもしれない。そう考えると、これも悪くないのかもなと思えるから不思議だ。
だけどこれは映画が面白かったからそういう広い心になれるのだと思う。

主役級の豪華キャスト揃い踏み

シャリーズ・セロンやマーク・ウォルバーグといった、それだけで主役を張れる俳優たちがこの映画にはそろっている。豪華キャストでスタイリッシュな泥棒稼業というストーリーなら「オーシャンズ」シリーズが有名だけれど、正直それよりもこっちの方が面白かった。そしてキャストもこちらの方が好みだ。
マーク・ウォルバーグは正直このような強い役ができるのかなと思ったけれど(「ディパーテッド」もそう思ったけどいい意味で裏切られたが)、今回もまたいい意味で裏切られた。ポーカーフェイスがうまくはまっており、そこに冷静さと知性をうまく醸し出している。しかし若干ムキムキさ加減が気になり、いささか鍛えすぎではないかとは思った。泥棒稼業なら体力勝負だしいいのかなと思おうとしたけれど、やはり時々気になってしまったところだ。
早々に殺されてしまったけれど、ドナルド・サザーランドもさすがに深い存在感を持つ俳優だと思う。少し出るだけでも映画が締まるような感じがする。それにしてもキーファー・サザーランドとこの2人、親子ながら本当によく似ていると出てくるたびに思うのは私だけでないはずだ。
そしてエドワード・ノートン。この役は本当に彼にぴったりだ。仲間だったときからすると顔つきさえも違ってくるから役者だと思う。「アメリカン・ヒストリーX」の演技も役柄にはまりすぎるほどはまりすぎて恐いくらいだったし、「スコア」では障がいを持ついかにも無害な若者を演じ、最後見事に大どんでん返しでだましてくれた。個人的には彼が出ているなら観てみようかなと思う役者だ。

無理のないストーリー展開

スタイリッシュなスピード感あふれる映画を目指すあまりに、どこか無理のある展開だったりつじつまがあわなかったりする映画が時にあるけれど、この映画は最後まで無理を感じさせない展開ながらもスピード感もスタイリッシュさも十分感じられるものだった。
まずタイトルにもなっているのだから、もっとミニ・クーパー推しだと思っていたけれど比較的控えめなものだった。もちろんラストの金塊を奪うミニ3台のカーチェイスは圧巻で観る価値があるものだったけれど、そのカーチェイスの時間が個人的にはちょうどよいものだったのも良かった。カーチェイス自体それほど好きでもないので、長すぎるとだんだん飽きてきてしまうのだ。そのカーチェイスの内容もただ追いかけっこだけでなく、なにかしら起こるのも飽きさせない理由だ。だから最後まで中だるみというものがなかった。
またこんなカーアクションものなのに、余計な効果音や盛り上げるような挿入音楽も一切なかったことも好ましい。あったとしても特に覚えていないので気にならないレベルだ。それはとても好感が持てるところだ。

期待を裏切らない派手な演出

冒頭の金庫を奪うやり方も派手でびっくりしたけれど、まさか走行中の装甲車をも同じやり方で狙うとは思わなかった。泥棒ものなら誰しもどのように盗むのだろうかとワクワクしながら観ていると思う。そのワクワク感を裏切らずに、むしろそれ以上を突いてくるこの演出でラストに向かいながらも映画に引き込まれてしまった。
装甲車を穴に落としたあとも、その穴をすぐさま横に駐車していたトラックの横板がふさぐ抜け目のないやり方に、金庫の時以上に興奮した。あの装甲車を信号によってうまく誘導するあの場面は、恐らく本当に渋滞を起こしたのだろう。CGではない迫力満点の映像からも目が離せなかった。
そもそもプロフェッショナルが集まってなにかをするという展開は大好きだ。天変地異系パニック映画に多いけれど、トラブルを回避するのに様々なその道のプロが集まるあの展開だ。この映画にも当然それがあり、チーム全てがそれぞれのプロだ(と書いたけれど、チャーリーは何のプロだったろう?)。皆が皆それぞれの実力を発揮している中、いまいち実力を見せることができなかったのはジェイソン・ステイサム演じるハンサム・ロブかもしれない。ハンサム部分はところどころで活躍していたけれど、ドライビングテクニックはあまり披露できなかったような気がする。運転うまいというのに渋滞時間を調べ、文句をいいながらもプロらしく堅実に20回も調べているところは好きなところだ。

一番の縁の下の力もち、ライル改めナップスター

こういう映画にはチームの活躍を影で支えるコンピューター担当は必ずいる。今一番思い出せるのは「ザ・コア」のラットだ。風貌からその仕草までいかにもな彼だったけれど、その実力は素晴らしく彼抜きでは計画は成功しえなかったと思う(あの映画は賛否両論あるけれど、個人的には好きな映画だ)。この映画のコンピュータ担当はライルと呼ばれる気弱げな男性だけれど、その実力は交通局のシステムにもぐりこんで信号を自由自在に操るまでのものだ。交通局のシステムをジャックしたときにモニターに「You’ll never shut down THE REAL NUPSTER!」と書き込んだときは、かなり爽快感があった。
またフレゼッリが金塊を積んだ装甲車を目くらましのため3台用意したとき、その車体の沈み具合でそれを見抜いたのもナップスターだ(チャーリーの指示の上だけれども)。あの場面もかなり気持ちよかった。
このようにコンピュータ担当が活躍する映画に外れはないのかもしれない。それくらい思った役どころだった。

笑えたところ、気になったところ

全体的には意外にもそれほどコミカルではないのだけれど、一度だけそういう場面があった。ゴルフ練習場で痩せのピートと出会ったときのレフトイヤーの反応だ。あからさまに“痩せって…”ていう顔をしながらもそもそと話し、それにチャーリーが突っ込んでいるあの笑いはどこか日本のお笑いセンスを感じさせた。決してアメリカンな笑いでなく含み笑いというかそれがどこか日本的で、少し意外だったところだ。
あとチームにステラを初めて紹介したときにただ一つもったいないなと思ったのは、ナップスターがバイクを倒して起こせなかった場面があったのだけど、ステラがそれを見ながらもスルーしたところだ。そこはステラが颯爽と起こしたらかっこよかったのに!ととてももったいなく思った。そういう行動こそシャーリーズ・セロン演じるステラらしいとも思えるし。そこはかなりもったいないなと思ったところだった。

ひどい邦題のおかげかもしれない

邦題がひどすぎて映画を観る前になにも期待をしていなかったというのもあるけれど、この映画は軽く楽しめるいい映画だったと思う。ギャップがあるからこそ、面白かった!という記憶が後々まで残るかもしれない。
邦題がひどいから観ていないという映画も、観てみれば意外に…ということもこれからあるかもしれない。しかし「刑事した奴ら」を次観るかと言われたら、そこはお茶を濁しておくことにしよう。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

関連するタグ

ミニミニ大作戦が好きな人におすすめの映画

ページの先頭へ